濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“往年のレジェンドボクサー”のファイトは「ドル箱」に…朝倉未来と対戦、メイウェザー45歳が“日本のRIZINで闘う理由”
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2022/09/23 17:04
9月22日の公式練習には1時間以上の遅刻。しかし始まると凄まじい動きを見せたメイウェザー
「今はエキシビションがビジネスとして成立している。世界的な需要が生まれてるんです」
そう語るのは、RIZINの榊原信行CEOだ。2020年にはマイク・タイソンがロイ・ジョーンズJr.と2分8ラウンドを闘い、昨年は58歳の元世界王者イベンダー・ホリフィールドが元UFC王者のヴィトー・ベウフォートにTKO負け。みな一世を風靡した“伝説”だから、現在進行形でキャリアを作っている現役選手よりも名前があるし、ファンのノスタルジーを誘う面もある。「歳をとった今はどれくらい強いんだ」という興味もそそる。
日本進出を目論むメイウェザーと、RIZINの思惑
そういう流れの中で、メイウェザーもエキシビションで話題を振りまく。そして稼ぐ。
「キャリアを終えた後、エキシビションを楽しんでやっている。世界中のファンにエンターテインメントを届けるんだ」
その一方でこんな言葉も。
「(自身の会社)TMTとRIZINが組んでのイベントを、今後も続けていきたいね。次の舞台はハワイ。徐々にアメリカ本土に近づいていくんだ。最終的な目標は、我々が世界一の団体になること。ボクシングもMMAも見てほしい」
メイウェザーとしては、プロモーションとしての日本進出、世界展開という野望があるのだろう。RIZINはそのパートナーだ。昨年2月には、メイウェザーを主役とするイベント『MEGA』の東京ドームでの開催も予定されていた。だが大会はコロナ禍により延期。『MEGA』のイベント制作をRIZINが請け負っており、今回の朝倉戦は『MEGA』の契約をRIZINが引きつぐことで実現している。
「メイウェザーたちも、MMA業界に進出したいという思いがある。我々としても北米への足がかりとしてメイウェザーと組むのは悪くない話です」(榊原)
朝倉「世界に名を売るために利用させてもらう」
9月25日のさいたまスーパーアリーナ大会は2部構成。12:00からメイウェザーvs.朝倉をメインとする『超RIZIN』が行われ、その後ハーフタイムショーを挟んで17:00から通常のシリーズ大会『RIZIN.38』がスタートする。こちらのメインは堀口恭司vs.金太郎だ。
なぜメイウェザーvs.朝倉は“昼興行”なのか。時差を考慮してアメリカ時間に合わせるためだ。日本の日曜昼はアメリカの土曜夜。海の向こうのファンも見やすい=PPVを買いやすい時間帯になる。
メイウェザーとの対戦が決まると、朝倉は言った。
「僕はMMAファイターなので、世界に名を売るために利用させてもらいます」
これまで日本と韓国でしか試合をしていない朝倉だが、もし“無敗の世界5階級王者”に一太刀浴びせることがあれば、世界中のボクシング・格闘技ファンと関係者がミクル・アサクラに注目することになる。そこから新たなチャンスが生まれるし、同時にRIZINの名も世界に轟くだろう。