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原口元気31歳「どうして今が楽しいかわかるでしょ?」スピードだけでなく“判断も素早い”戦術眼を得た真相〈インタビュー〉 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph bySatoshi Shigeno

posted2022/09/27 11:07

原口元気31歳「どうして今が楽しいかわかるでしょ?」スピードだけでなく“判断も素早い”戦術眼を得た真相〈インタビュー〉<Number Web> photograph by Satoshi Shigeno

原口元気は新シーズン前の自主トレ期間を割いてインタビューに応じてくれた

「動き出しを早くしなさい」

 攻撃的なポジションの選手であれば誰でも、言われるアドバイスではあるのだが……。原口はさらに思考を深め、指示を具体的に実行するための方法に気がついた。

「『動き出しを早くしろ』という言葉だけだとその本質が伝わりにくいというか、早く動こうと意識することはできるけど、『じゃあ具体的にどうしたらいいの?』と頭をかしげることはあったかもしれない。

 でも、今はそうではないから。すごくロジカルだね。素早く動けるようにするために、どんなサポートがあるのかを知り、それを早く判断して使い分けているから、動き出しを早くできる。

 そういう発見もあるから、最近はサッカーがどんどん楽しくなっているのかもしれない」

最後には走り勝てばいいや、からの脱皮

 ここからは、先ほどの<ポイント2>で原口が言及した「スピード『も』速い」というテーマについて掘り下げていこう。

 2014年、当時22歳だった原口が、ブラジルW杯のメンバーにノミネートされる可能性が限りなく低いと悟ったタイミングで、身体を改造するべくフィジカルトレーニングを始めたことは良く知られている。加速力を上げたり素早く方向転換しても、怪我しないような身体にするために、筑波大学の谷川聡教授と契約を結び、トレーニングに取り組んできた。

 ただ、そうしたトレーニングに没頭するだけなら「スピード『は』速い」というレベルで終わっていただろう。

「数年前までなら、相手と一対一の状態になったときに、どれだけインテンシティを上げられるのか、クイックネスを上げられるかにフォーカスしていたと思う。『相手に寄せられても、最後に走り勝てばいいや』と考えて、パワー勝負、フィジカル的な勝負をしようとしていたんだ。

 でも今は、違う。自分がボールを持っているときに、どれだけ相手にアタックされずにプレーできるかを考えるようになった。判断力を磨くことで、ボールを持っている時にも、なるべくアタックされないようにすることを自分の中でテーマにしている」

 つまり「スピードが速い」選手から、「判断が早く、スピード『も』速い」選手へと変貌をとげつつある。

「だから、どうして今が楽しいかわかるでしょう? 個人分析官と一緒になって準備してきたものが表現でき始めているというのが1つ。そして、そのおかげで早く判断できたときに、フィジカル的なアドバンテージをより活かせるようになったというのが2つ。両方あるんだ」

 それに加えて、もう1つのメリットがあった。これは選手としての成熟にかかわるものだ。

【次ページ】 序列を上げていく作業にも全力で取り組んでいる

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