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原口元気31歳「どうして今が楽しいかわかるでしょ?」スピードだけでなく“判断も素早い”戦術眼を得た真相〈インタビュー〉 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph bySatoshi Shigeno

posted2022/09/27 11:07

原口元気31歳「どうして今が楽しいかわかるでしょ?」スピードだけでなく“判断も素早い”戦術眼を得た真相〈インタビュー〉<Number Web> photograph by Satoshi Shigeno

原口元気は新シーズン前の自主トレ期間を割いてインタビューに応じてくれた

 これに反応した浅野がディフェンスラインの裏でボールに追いつくと、前に出てきた相手GKの頭上に浮かせるシュートで先制ゴールを決めたのだった。

原口の言葉で“成長した2つのポイント”を解析すると…

 この一連のプレーにはいくつもの創意工夫があるが、原口が成長したポイントは大きくわけて2つあった。本人の言葉で解析してもらおう。

<ポイント1/他の選手よりも早いタイミングで予測できた>
「普通だったら、センターバックやサイドバックが大きく蹴ったタイミングで、初めて、『どこにこぼれるのかな?』と考えると思うけど……。俺は、『長いボールを蹴りそうだな』と判断した瞬間に、『最適なサポートをしなきゃ!』と意識が切り替わっていて。だから、相手とのちょっとした差が生まれたんだ」

<ポイント2/予測の精度が上がった>
「早く反応できるようになるための取り組みもしてきたけど、分析官と一緒になって徹底的にやってきたのが、どこにこぼれるかを正確に予測すること。

 もちろん、以前から『セカンドボールを拾わなきゃ』と意識することはあった。だけど昔と比べて、どこに落ちるかを見極める力は研ぎ澄まされている。しかも、(こぼれ球に反応しようと考え始めるまでの)スピード『も』速くなっている。

 だから、映像を見直してもらうとわかるかもしれないけど、洋輝が蹴った瞬間に、相手選手よりも早く、『このあたりにこぼれるだろう』と動けていた」

 原口は当初、ビルドアップで丁寧に足元にパスをつないでいくために最適なサポートをしようと考えていた。しかし、伊藤が前線に長いボールを送りそうだと察知した。そこで、瞬時に判断を「5A」のサポートに切り替えた。これはセカンドボールや、落としたボールを拾えるようにする動きを指す。

 だから、原口は胸を張る。

「あれは意図的に生まれたアシストだったということ」

動き出しを早くしろ、ってどうすればいいの?

 こうやってトレーニングの成果がゴールに結びつくだけで十分だ。ただ、原口は分析官とのやり取りを続けることで、サッカー少年の時期に感じた、ある戸惑いについて思い出した。

【次ページ】 最後には走り勝てばいいや、からの脱皮

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