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なぜ、フロンターレはコロナ禍でも大イベントを仕掛けるのか? ”J最強の企画屋”が明かす超攻撃的な戦略「重いバーベルを上げ続けないと…」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE
posted2022/08/19 06:00
アイディア豊富な企画やイベントを次々に仕掛けて、集客にもつなげている川崎フロンターレ
「フロンターレの特徴としてクラブを身近に感じてもらうため、コロナ前までは、地域、サポーターとのソーシャルディスタンスを取らない、触れ合うイベントをずっとやってきたわけですから、コロナ禍でソーシャルディスタンスを保ちながらもフロンターレらしさを感じられる仕掛けって何かなって結構考えさせられました。でもそんななかでも導いた方法のひとつが音楽。音楽はソーシャルディスタンスを保ちながら人の心に響くエンタメですから。昨年『坂本九生誕80周年記念事業』を展開したのもこの発想から。11月3日の浦和レッズ戦で『坂本九ランド』を開催して、ハーフタイムには九さんファミリーによる『心の瞳』を披露してもらいました。『心の瞳』って試合に勝った時でも負けた時でも不思議と聞いた人の心に寄り添うことのできる曲だなと前々から感じていたので、80周年記念事業は昨年で終了しましたが今も試合が終わったスタジアムにこの曲を流すようにしています。今季コラボしている純烈の皆さんやGENERATIONSのようにコロナがあったことで今まであまり意識していなかった音楽というコンテンツを一つの武器として手に入れた感覚があります。
コロナ禍は大変ですけど、やっぱり言い訳にはしたくないですよね。ワンステップ高いところに行くためのハードル。そう思ってみんなやるようにしています。川崎市のなかにもまだまだフロンターレの試合を生で観たことがないという方も多い。僕らの事業って『サッカー興行』ではなく『サッカーを中心としたスタジアム内外興行』ですから、水曜どうでしょう然り電流爆破然り、色々なフックをつくってそのための仕掛けをバンバンやっていければいい。これからのフロンターレを楽しみにしてほしいなって思いますね」
フロンターレらしさとは?
コロナ禍にありながらもフロンターレのイベント自体もスケールアップしている。
少し前のフロンターレはスタジアムイベントのほとんどを天野が企画立案していたが、今はそうではない。というのも天野は一時期、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に出向してクラブを離れ、その間、残ったスタッフたちが「フロンターレらしさ」を踏襲しながら斬新な企画をアップデートさせてきた。コロナ禍においても重いバーベルを上げ、大きなイベントを成功させている。“チーム”としての強みが出てくるのは、これからでもある。
コロナに負けるな――。みんなで踏ん張って、歯を食いしばって――。
夏のイベント攻勢は、すべてのスポーツ事業者を勇気づけるメッセージにもなっている。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。