Jをめぐる冒険BACK NUMBER
浦和の“声出しチャント復活”に鳥肌が… 小学生からサポの伊藤敦樹「らしいな」、ショルツも小泉佳穂も興奮した“静寂のち大合唱”
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byHiroaki Watanabe/Getty Images
posted2022/08/17 06:01
埼スタに戻った浦和レッズらしいチャントの数々。選手たちも本来のバックアップを受けた
「びっくりしたよ、ゴール裏のサポーターが歌いながら飛び跳ねているんだから。本当にすごい迫力だった。試合後はみんなで歌うのを知らずにロッカールームに戻ろうとしてしまった。歌は下手なので、練習しておこうと思う(笑)」
モーベルグは「アメージング」という言葉を繰り返した。
「僕自身はこれを6カ月待っていたけれど、3年待っていた人たちがいるんだよね。本当に素晴らしかったよ。鳥肌が立った。そのあと、自分の顔から笑顔を消すのが大変だった。このような力強いサポーターのいるクラブの一員になれて、本当に幸せだよ」
育成組織出身の松尾が口にした熱い言葉
感慨深そうに遠くを見つめながら『We are Diamonds』を聞いていた小泉は、実は少し困っていたという。
「声出しがあるのですごくワクワクしていました。それが今日の試合のテンションの高さにつながったと思います。小学生のときからテレビで見ていて、僕はすごく怖いイメージがあったんですよ、浦和レッズのサポーターに。でも、味方になるとこんなにも頼もしいものかと。(『We are Diamonds』は)一体感があって気持ち良かったんですけど、歌詞がまだ分からなくて……(苦笑)」
今季の新加入ながら、伊藤と同じく育成組織出身の松尾佑介は「意外とみんな歌えないんだなと思って。僕は普通に歌っていましたけど」と彼らしい受け答えをしたあと、「あの歌を聞いたあとなら、もう1試合いけそうだなと思いました」と、熱い言葉を口にした。
埼玉スタジアムでサポーターの歌声を初めて聞いた選手たちはもちろん、コロナ禍以前から在籍していた選手にとっても、忘れられない夜になったに違いない。
なぜ今、このチャントを歌うのか。なぜ今、黙って見守るのか。なぜ今はチャントではなく、シンプルな『レッズコール』なのか。
チームを勢い付けたい、チームを落ち着かせたい、苦しむチームを鼓舞したい……。
改めてサポーターが試合に参加しているということが伝わってきた。彼らもまた、選手と一緒にゲームを組み立てているのだ。
ACLでは声出し応援エリアが設置される
8月18日に開幕するAFCチャンピオンズリーグのノックアウトステージには日本勢として浦和、横浜F・マリノス、ヴィッセル神戸の3チームが参戦する。舞台となるのは、埼玉スタジアムと浦和駒場スタジアム。声出し応援エリアが設置されるため、きっと素晴らしい雰囲気に包まれるはずだ。
そして近い将来、満員のスタジアムに歌声が響き渡ることを願って――。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。