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“Jリーグでよく見る”あのLEDビジョンは1mでなんと約150万円! 担当者に聞いた「最も進化しているリーグは、どこの国?」
posted2022/08/07 06:00
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph by
VEGALTA SENDAI
生活の隅々を鮮やかに照らすLEDは、深刻な電力不足に見舞われた2011年、東日本大震災を機に一気に社会に浸透した。
ピッチ外周の広告としても欠かせないLEDビジョン。Jリーグ最大のシェアを誇るのが仙台市に本社を置くアイリスオーヤマだ。
副事業部長の松山稜平さんが語る。
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「被災企業でもあった弊社は照明をLEDに替えて電力、二酸化炭素の削減に努め、その流れで点灯する小さなチップをパネルに貼りつけて大きな映像を創り出す、LEDビジョンにも取り組むようになりました。Jリーグでは地元、ベガルタ仙台様を皮切りに10クラブのホームスタジアムに納品しております」
LEDビジョンの利点は空間演出と広告収入アップ。その形状からA型看板と呼ばれた従来の広告では表示できる数が回転式でも3社ほどだったが、LEDビジョンは上限がなく、観客や視聴者の目を惹く多彩な仕掛けができる。
では、気になる導入費用はいくらなのか。
「本体価格に標準工事費などを含めて、幅1mで約150万円になります。幅が約10mの自宅の庭に設置すると仮定した場合、導入費用は約1500万円になります」
おー! 筆者の予想を上回るプライスだったが、導入するクラブが後を絶たないのは、投資を上回る収入が見込めるということだ。
選手が激突しても破損しないヒミツは…
電化製品でもあるLEDビジョンには、断線などのリスクが付きまとうが、「トラブルは起きていません」と松山さんは言う。
万が一のためにLEDビジョンにはふたつの回線があり、ひとつが切れると瞬時に予備回線に切り替わるという。また強烈なシュートが直撃しても、選手が衝突しても破損しないのは、点灯する無数のチップの間に衝撃を吸収する突起があるからだ。寿命は屋外でも約5万時間。LEDビジョンは1開催日に10時間ほど使用されるが、単純計算で5000開催に耐えられるということになる。
もはやLEDビジョンが珍しくなくなったJリーグ。しかし世界的に見れば、この分野では最先端というわけではない。
「もっとも進んでいるのは、イングランドのプレミアリーグです。LEDビジョンでピッチを切れ間なく囲い、ゴール裏に2列並べるところも。そうすることでより多くの広告が表示できるだけでなく、より多彩な演出ができるようになりますからね」
進化をやめないLEDビジョン。目を離せないのは、試合の行方だけではないのである。