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“大阪桐蔭の5人”にスカウト熱視線…春→夏で何が進化? 「前田悠伍は2年ですが今秋ドラフトでも」「4番は技術、メンタルが高校生離れ」 

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間淳

間淳Jun Aida

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photograph byNanae Suzuki

posted2022/08/09 17:02

“大阪桐蔭の5人”にスカウト熱視線…春→夏で何が進化? 「前田悠伍は2年ですが今秋ドラフトでも」「4番は技術、メンタルが高校生離れ」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

センバツ決勝で本塁打を放った松尾汐恩。秋春夏連覇を狙う大阪桐蔭はまさにタレントの宝庫だ

 打撃は大阪桐蔭の5番に座るだけあって、スイングに強さや速さがあります。大阪大会ではホームランを打っていますが、長距離打者ではないと自覚していると思います。足を生かして外野手の間を抜く打撃や、走者を確実に還す打撃を意識しているように見えます。自分の長所や役割を把握しているのでしょう。走攻守が高いレベルでそろっている選手です。

4)川原嗣貴投手(3年)/188cm85kg、右投左打

 エースナンバーを背負い、大阪大会優勝を決める最後のイニングを締めた姿は自信に満ち溢れていました。川原投手は間違いなく、センバツ優勝の経験が成長につながっています。恵まれた体格から投じる力強い直球は、高校生でもトップレベルです。

 ただ、今春のセンバツ前までは、どこか自信のなさや脆さを感じさせました。カウントが悪くなったり、走者を背負ったりするとリズムが悪くなり、コースを狙いすぎてストライクが取れない悪循環に陥るケースがありました。多少コースが甘くなっても力勝負できる直球があるだけに、もったいないと思う時がありました。

 しかし、今夏の大阪大会では相手を見下ろすような風格がありました。打たれるかもしれないという不安や、相手打者への過剰な警戒心がないため、自分の投球に集中していた印象です。常時140キロを超えるスピードに加えて、ボールの強さが一番の武器です。

 直球を待っている打者からファウルを奪ったり、詰まらせたりする球威があります。特に、投手の原点ともいえる右打者への外角直球は、制球も安定していて質が高いです。前田投手、別所投手といったハイレベルなチームメートと切磋琢磨して技術を上げ、その中でエースナンバーを手にした自信が投球に表れています。

5)丸山一喜内野手(3年)/180cm93kg、右投左打

 派手さはありませんが、今年の大阪桐蔭打線を象徴する4番打者です。

 大阪桐蔭の4番と言えば、西武の中村剛也選手、中日の平田良介選手、巨人の中田翔選手ら豪快なスイングでホームランを量産するタイプを思い浮かべる人も多いと思います。丸山選手は今夏の大阪大会でホームランを打っていますが、長距離打者ではありません。

 持ち味はスイングスピードとバットコントロール。タイミングの取り方が上手いですし、タイミングを崩されても体とバットを後ろに残せるので、高校生の投手では、なかなか打ち取れません。内角の直球は強く引っ張り、外角へ逃げる変化球や落ちる変化球は逆方向へ運ぶため、バッテリーは苦労します。

【次ページ】 5人以外も他の高校に行けばエース、主軸レベル

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