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不変の戦い方の是非を問う…3連敗スタートの後半戦、佐々岡カープに反撃のための一手はあるか《CS争い本格化》
posted2022/08/02 11:00
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
JIJI PHOTO
待って、待って、待っているだけでは、シーズンは終わってしまう。
プロ野球はペナントレースも後半戦に入った。“後半戦”とはいえ、各球団、残り50試合前後。ラストスパートのムチを打つタイミングを探る時期に入ったといえる。
そんな中、広島・佐々岡真司監督は開幕から貫いてきた戦い方を100試合目前にしても、変えようとはしない。7月29日からの中日3連戦も、待って、待って、待った。3戦目にしてようやく流れが来たものの、勝利はつかめなかった。最下位中日相手に、本拠地での3連敗はあまりにも痛い。
リーグでの屈指の顔ぶれがそろう先発陣が可能な限り長いイニングを投げ、セットアッパー森浦大輔から抑え栗林良吏につなぐ。打線は小技を挟まずに打者がつないで得点を奪う。機動力は多用せず、犠打とセーフティースクイズを中心に打者個々の能力で打開していく。
これが佐々岡野球のスタイルであり、前半戦はこれで勝ってきた。開幕6連勝から始まり、交流戦最下位となって最大借金6を抱えながらも、前半戦終了までに勝率5割に戻した。だが、後半戦最初の3連戦は待っても流れが来なかった。
3連敗は必然だったのか?
29日、初戦は先発・高橋宏斗ら中日投手陣の前に1安打無得点。先発・大瀬良大地が3回4失点するなど、計9失点して完敗だった。2戦目は僅差で勝ちきれず、3戦目はヒットエンドランを仕掛けて後半戦初得点となる先制点を奪ったものの、逆転負けを喫した。
劣勢になれば作戦を打ちづらいだろうが、膠着状態を打破するには動くことも必要だ。走者を動かさなくても、相手バッテリーは揺さぶれる。狙い球を徹底するのか、コースを徹底するのか。積極的に行くのか、待球なのか。苦手とする投手にこそ、チームとしての明確な方針が相手バッテリーを考えさせるきっかけとなる。後半戦、まだ試合中にベンチ前で円陣を組む光景も見られない。
待って、待って、待つだけではない戦い方が、この先は求められる。攻撃の策と同じように、継投策もまた無言のメッセージとなる。
今季の広島はシステマチックな中継ぎ起用を続けてきた。
抑え栗林、セットアッパー森浦はリードした終盤のみ。矢崎やニック・ターリーを中心にしたセットアッパーにつなぐグループは同点以上。ビハインドであれば、7点差だろうが、3点差だろうが、1点差だろうが、指揮官が「ビハインドピッチャー」と表現する序列が低い投手を起用する。
長丁場のペナントレースで、限られた戦力を最大限に生かして戦い抜く術なのかもしれない。試合の展開や状況を読みながら継投するのではなく、明確なカテゴリー分けをした投手を状況によってつないできた。