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不変の戦い方の是非を問う…3連敗スタートの後半戦、佐々岡カープに反撃のための一手はあるか《CS争い本格化》
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byJIJI PHOTO
posted2022/08/02 11:00
8月1日時点でAクラスにいても、ベンチの中では厳しい表情でいることが目立つ佐々岡監督
佐々岡監督は後半戦に入っても、その形を崩さなかった。
接戦を落とした30日中日戦。0-1の7回表のマウンドに送り出されたのは、中崎翔太だった。
7回の攻防は、この試合の分岐点。中日にはセットアッパーのロドリゲスが復帰し、抑えにはR.マルティネスが控えている。回が進めば進むほど、得点チャンスは薄れていく。7回裏の攻撃を見据えた7回表はひとつのポイントだった。
結果は2死走者なしから1失点。なお続いた2死満塁はしのいだものの、あまりにも重い1点となった。
元守護神の中崎には、防御率だけでは計れない貢献度があるのは理解できる。ただ、現状での序列は中位。再昇格後、延長12回と4点リードで登板した2試合を除けばすべてビハインドの状況での登板だった。
点差はまだ1点。反撃に転じる一手であれば、勝ちパターンの投手を投入する攻撃的な継投があってもいい。この日は4日間の休養期間明け2戦目。2日後には再び1日の休養日がある。
栗林、森浦に続く存在といえる矢崎拓也を3点差に広がった9回に投入したのなら、7回で良かったのではないか。打つべき手を打たずに敗れれば、尾を引くこともある。
苛烈なCS争いに求められること
省みれば、前半戦最終戦もそうだった。1点ビハインドの6回途中に2番手として登板したのは序列が低い松本竜也。新人右腕は結果、無失点に抑えたものの、オールスターブレーク前の試合で勝ちパターン投手の登板機会がないままヤクルトに敗れた。首位ヤクルトからすれば、1勝2敗は御の字であり、ダメージを与えられず、広島へのイメージも変えられなかった。一縷の望みを消す敗戦のように感じられた。
流れは待つのではなく、持ってくるものだ。広島はそれを身をもって感じているはず。逆転負けはリーグ最多22度。それもすべて3点差以内の負けである。
チームはまだクライマックスシリーズ出場圏内の3位にいる。ただ、4位DeNAとはゲーム差なし(8月1日時点)。最下位中日とのゲーム差も3しかない。後半戦というよりも、シーズン終盤。1勝1敗の重みが増す。
ここからはいい意味で「型破り」な戦い方に期待したい。ここまでスタイルを貫いてきたからこそ、挙げた勝利もあるに違いない。だが、型を破りきれないまま後手に回るだけでは、形無しのシーズンとなってしまう。
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