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メディア出演はなんと100回超…“多すぎ”批判も、柔道ウルフアロン26歳がテレビに出続ける理由「入り口は僕の名前とかキャラでもいい」

posted2022/07/29 11:02

 
メディア出演はなんと100回超…“多すぎ”批判も、柔道ウルフアロン26歳がテレビに出続ける理由「入り口は僕の名前とかキャラでもいい」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

東京五輪で金メダルを獲得してから1年。ウルフアロンが今明かすテレビ出演への思いとは

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岩尾哲大(時事通信)

岩尾哲大(時事通信)Tetsuhiro Iwao

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Takuya Sugiyama

1年前に開催された東京五輪で、金27個を含む58個のメダルを獲得した日本選手団。その後、多くのメダリストがメディア出演を重ねてきた中で、最も知名度が上がった選手とも言えるのが、柔道男子100キロ級チャンピオンのウルフアロン(26歳)だ。メディア出演を続ける真意や、柔道家としての今後の展望について聞いた特別インタビューをお届けする。(全2回の1回目/後編へ続く)。

テレビ・ラジオ出演は半年でなんと100回

 東京五輪後、秋冬はテレビで見ない日はないぐらいの印象だったが、それもそのはず。マネジメント会社の集計では、五輪閉幕翌日の8月9日から今年1月末まで、半年足らずの間にテレビやラジオの出演数は実に100回にのぼった。プロ野球の始球式や警察署の一日署長、講演などなど、イベントでも引く手あまただった。

 世界は変わったかと聞くと「変わりましたね、やっぱり。どこにいても気付かれるし、普通に道を歩いているだけで見られるし。うれしい半面、たくさんの人が見ているから行動に気を付けないといけないなと思うところもある」と苦笑い。名前がよく似た、あの瞬間接着剤のCMでもおなじみに。お年寄りとすれ違うと「アロンアルフア!」と言われることもあるとか。

 時間と身を削って露出を増やしてきたのには意図がある。

「僕が人気になりたいというよりは、柔道全体の人気を広げたかった。知名度は大事。入り口は僕の名前とか、キャラでもいい。第一線の選手がメディアに出ることによって、たくさんの人が柔道の存在を知ってくれる。どれだけ自分がその競技を頑張っていても、見てくれる人や応援してくれる人がいないと、その競技の価値はなくなってしまう。

 柔道の試合会場が満員になることはあまりない。観客は選手の家族や関係者、元選手が多いので、テレビとかで僕を見てもらって『ウルフアロンって柔道選手なんだ。じゃあ一回試合会場に行ってみようかな』と思ってくれる人が少しでも増えたらうれしい。そこから『ウルフ以外にもいい選手いるな。この選手応援したいな』と思ってもらえたらいい」

“出演しすぎ”批判を本人はどう感じているのか?

 メディア出演の多さをいぶかる向きもあり、全日本柔道連盟の強化委員会で自身への批判の声が出たことが報じられたこともあったが、「まあ、そういう意見もあるでしょ」と、特に気にしていない。「時間があるときはメディアでの活動をこれまでのように行なって、柔道という競技をもっと広めたい。少しでも並行して頑張っていきたい」という。

 メディア露出は五輪を機に思い立ったことではない。以前からバラエティー番組などに呼ばれることはあり、3年前にも「柔道選手の知名度を上げていかないと柔道人気も上がってこない。試合がない時はできるだけ(メディアに)出たい」と言っていた。根底にあるのは、柔道への愛情。大好きな柔道を今以上に広めたいという思いを変わらずにずっと持ち続けてきたのだ。

【次ページ】 TV関係者から予言されていた「出演依頼は殺到しますよ」

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