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オリンピックPRESSBACK NUMBER
メディア出演はなんと100回超…“多すぎ”批判も、柔道ウルフアロン26歳がテレビに出続ける理由「入り口は僕の名前とかキャラでもいい」
text by
岩尾哲大(時事通信)Tetsuhiro Iwao
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/07/29 11:02
東京五輪で金メダルを獲得してから1年。ウルフアロンが今明かすテレビ出演への思いとは
ただ、いくら金メダリストの肩書きがあり、本人が希望しても「需要」がなければこれほどメディアに出続けることはできない。その観点で、ウルフにはテレビ局などの期待に応え得る、アスリートでは抜群のトーク力とユーモアがある。
TV関係者から予言されていた「出演依頼は殺到しますよ」
過去の報道陣への取材対応でも、競技に関する話はそこそこに記者たちを笑いの渦に包んだことが何度もあった。「胸毛にほれましたと言ってくれたファンの方がいて、びっくりしちゃった。ファンは胸毛に引っかかっている」と話すなど、一時期は取材がセッティングされるたびに自慢の胸毛についての質疑応答があった。
ユーチューブでは料理人さながらの包丁さばきを披露。「朝5時ぐらいに豊洲に行って、サワラを仕入れて西京漬けにした。独学だけど、目が透き通っている魚がいいし、顔が小さくて、体高が大きい方がいいのかなと思っている」と熱く語ったこともある。金メダリストになった直後、ウルフのマネジャーはテレビ関係者から「受け答えは秀逸だし、魚もさばける。この感じだと出演依頼は殺到しますよ」と予告されていたそうだ。
結果的にその通りになった。「最初は出られるものは、全部出ておけみたいな感覚だった」とウルフは言う。そもそもが「人を楽しませるのが好き。飲み会でも、ずっと話している」という性格。「分からないことをそのままにしておくのがすごく嫌で、すぐ分かることだったらすぐ調べて、知識として身につけておく」という性分でもある。王道のスポーツ番組はもちろん、バラエティー、クイズ、そして大食い。まさに何でもござれの現役アスリートは希有で、そして重宝された。
家族は「みんなおしゃべり」
豊かな社交性は、温かい家族に育まれたと思っている。米国出身の父ジェームスさん、母美香子さん、兄のアイザックさん、弟のシェインさんは「基本的にみんなおしゃべり」だそうで「何かと冗談を言い合う家庭だった」。また、母の教えの通り「義務教育の中学校までは、しっかりと勉強していた」という。「中学までの勉強をしっかりやらないと、社会人になって恥をかくと教えられた。一般的な教養は大事。高校からは自分が何を極めたいかを考えると思うが、中学は(人としての)土台をつくる段階」と力説する。
「土台をつくることによって、何となく自分が得意なこと、不得意なことって分かってくる。幼い頃から、たくさんのことを勉強したり、チャレンジしたりすることによって、大人になったらこういうことをしたいというのも決められる。中学校までは広く、浅くでいいから、いろんな知識を身につけておくことが大事かなと思う」
中学では学年3位の成績を取るほど真面目に勉強した。「だから、頭の回転も速くなったのかな」。今ではそう思えている。