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巨人不振の根源に「勝利の方程式・整合性なきリリーフ起用」 成績で見ると盤石ヤクルトとの差は歴然〈セ唯一の救援防御率4点台〉 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHideki Sugiyama

posted2022/07/26 06:00

巨人不振の根源に「勝利の方程式・整合性なきリリーフ起用」 成績で見ると盤石ヤクルトとの差は歴然〈セ唯一の救援防御率4点台〉<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

“魔の8回”と呼ばれるなど、巨人のリリーフ陣が機能していないのは数字でも明らかだ

<巨人>
大勢36試1勝1敗25S 5H 35.2回 率2.02
(31勝4敗1分 率.886)
デラロサ15試0勝0敗1S 6H 13.2回 率3.95
(9勝6敗0分 率.600)
今村信貴39試1勝2敗0S 20H 37.1回 率4.58
(21勝17敗1分 率.553)
畠世周21試2勝0敗1S 5H 24回 率3.38
(10勝11敗0分 率.476)
鍬原拓也42試2勝2敗0S 13H 38回 率5.45
(19勝22敗1分 率.464)
平内龍太36試4勝3敗0S 8H 34回 率3.71
(15勝20敗1分 率.429)
高梨雄平36試2勝0敗0S 13H 27.1回 率2.63
(14勝21敗1分 率.400)
菊地大稀16試0勝2敗0S 0H 17.2回 率5.60
(1勝15敗0分 率.063)

 今季は新人の大勢をクローザーに据えている。勝率から見ても、不動の存在なのは間違いない。

 しかしそれ以下の投手は、投手成績と起用している試合の勝敗が、整合しない。全体にヤクルトよりも勝率が低いのは仕方がないが、成績が良いとは言えない今村が、防御率の良い高梨よりも多くの勝ち試合で起用されている。

 もちろん、今村は1イニングを任される中継ぎであり、高梨はワンポイントリリーフが多いから起用法が違う。ただ、トータルで見れば今季も「この投手をこのシーンで起用する根拠、理由」が弱いと言わざるを得ない。さらに役割を固定せず、調子のよさそうな投手をその都度、起用している印象を受ける。

巨人は伝統的にリリーフの使い方がうまくないと言われる

 巨人というチームは伝統的に救援投手の使い方がうまくないと言われる。最強チームだった時代が長く「捨て試合」をつくれないために、負け試合でも一線級の救援投手を使うことがある。

 しかしこういう起用法だと、投手は「自分の持ち場がどこなのか?」を認識できなくなる。ブルペンには逐一、ベンチから救援準備の指令が入るが、実力ある救援投手は、試合展開を自分で読んで、起用されるシーンを想定して心身の準備を整えるものだ。しかし、巨人のような使われ方をすると、ブルペンで「え、次、俺?」みたいな反応をする投手が出てきてしまうのではないか。

 コロナの感染拡大を受けて、巨人は球宴前の3試合を延期にした。「長すぎるオールスターブレーク」を奇貨として、巨人は今度こそ「勝利の方程式」を組み立てるべきではないか。

【次ページ】 3試合延期の巨人は96試合消化だからまだいいが……

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読売ジャイアンツ
大勢
今村信貴
畠世周
鍬原拓也
平内龍太
高梨雄平
菊地大稀
東京ヤクルトスワローズ
高津臣吾
スコット・マクガフ
清水昇
石山泰稚
梅野雄吾
田口麗斗
木澤尚文
今野龍太
大西広樹

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