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坂本勇人の不在で巨人はここまで違う…4番・岡本和真の驚くべき数字とは?「背番号25が見えすぎますね」掛布の鋭い指摘も
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/07/17 11:02
現在、離脱中の坂本勇人(左)と4番の岡本和真(右)
松井秀喜も指摘していた岡本の特徴
実は同じ言葉を巨人OBで元ニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜さんからも聞いたことがある。
「テークバックで左肩が入りすぎてグリップを背中方向に引く癖があるから、正面から見ると背番号が丸見えになる」
松井さんが岡本の状態が悪い時の特徴として指摘していた部分だった。
掛布さんはこの阪神戦の第3打席で西勇輝投手が投じた外角のカーブに投ゴロで倒れたときに、この悪癖が出ていることを指摘している。
「真ん中から外へ流れるカーブ系のボールですよね。肩が入りすぎているものが、開いていってしまうので、外のボールが届かないですよね」
力感を求めて右肩を後ろに大きく引いてテークバックするから、背番号が丸見えになる。ただ今度は打ちにいったときに、反動で左肩が開くので外のボールが遠くなって強く叩けない。
岡本自身もおそらく分かっているだろう。ただ打席で結果を出したい、ボールに強くコンタクトしたいと思うと、どうしても出てしまう。
掛布さんも原因は様々だが、一つに坂本がいないことで前後のバッターのバランスが崩れていることを指摘していた。今季はなかなか波に乗れない中でさらに責任感からくる気負いが、岡本を狂わせている。
そこが岡本の現在地なのだろう。
岡本自身も納得した”確信の一撃”
岡本が本格的な長距離打者として覚醒していくきっかけになったのは、2018年8月4日のナゴヤドーム(現バンテリンドーム ナゴヤ)で放った1本の本塁打だった。
この試合で岡本は本塁打が出にくいといわれるナゴヤドームの右中間に特大の本塁打を打ち込んだ。
「あれでも入るんや、とその後の自分のバッティングの自信になるホームランでした」
後に岡本本人からこの一発の意味を聞いたことがある。ムリに引っ張らなくても、しっかりと壁を作ってボールを呼び込んで叩けば、逆方向に本塁打できるということを確信した一撃だった。
そしてこの年、岡本は3割、30本塁打、100打点をクリアし、巨人の4番打者としての王道を歩み始めることになったのだ。