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マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
「4番らしく、真剣に振らんかい!」毎朝6時1000本スイング、スカウトが見逃した“ドラ1狙う”徳島の左投手…“甲子園予選”で見たいドラフト候補
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![安倍昌彦](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKYODO
posted2022/07/14 17:02
![「4番らしく、真剣に振らんかい!」毎朝6時1000本スイング、スカウトが見逃した“ドラ1狙う”徳島の左投手…“甲子園予選”で見たいドラフト候補<Number Web> photograph by KYODO](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/a/a/700/img_aad50465a8cf65b80e75b7f81c22f038370838.jpg)
プロ注目、阿南光高の左腕のエース・森山暁生(3年・182cm85kg・左投左打)。昨夏、甲子園のマウンドにも上った
ストレートから始めて、徐々に指をかけていく。リリースだけ、パチッと力を入れている程度の「出力」なのに、ボールが走る。
ピッチングの基本となる腕の振りの軌道を確かめているのか……横すべりがなくタテに落下するカーブ。100キロちょっとだって、こういうカーブの落下スピードは、速球以上にすら感じることがあるのは、明治大・柳裕也(現・中日)のカーブを受けて、私自身も体感している。
15球が過ぎたあたりから、一気にペースが上がる。全力投球に近い力感になっても、フィニッシュに崩れがない。踏み込んだ右の股関節に程よく体重が乗って、森山の目が最後まで球道を追えている。こういう投手は、確かなコントロールを持っている。頭が動いていないからだ。
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前の日にも、西条高(愛媛)で6イニング投げてきたと聞いた。この時期の高校球児は忙しい。梅雨場の不順な天候で春からの疲れが出て、週末の遠征に練習試合、期末試験もそろそろだろう。夏本番の今は、高校球児たちの「正念場」だ。
万全な体調なら、そこから来い!っていうホームベースの上から 、グァーンと来るボールなんだろう。
投げる前の森山との立ち話。
――やっぱり、ツーシームが勝負球?
「いや、やっぱりまっすぐです、自分としては」
――クロスファイアー?
「はい!」
静かな反応だったが、力がこもっていた。
やはり全国有数のスラッガーと言われる高松商業高・浅野翔吾外野手が「あのツーシームには手が出ない」と、かぶとを脱いだと聞いたその必殺・ツーシームには、目もくれていない。そんな口ぶりだった。
◆◆◆
と……そこで、今度は、私が時間切れになった。
実戦の奮投は、徳島の甲子園予選での楽しみにしよう。
「(森山は)門別と、どこがどう違うんだ……」
早くも、札幌支部予選が始まっていて、すでにその代表決定戦で14奪三振完封の快投をやってのけた東海大札幌高の左腕・門別啓人投手。
そう、その「門別」だ。後編は、この春5月、東海大札幌高のグラウンドで、目の当たりにした門別啓人投手のピッチングとその語りから、話を始めよう。
<後編に続く>
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