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イギリス重鎮記者がリバプール南野拓実を“本音で総括”「ミナミノは大活躍ではないが大きな功績」「セカンドトップがベストだったが…」 

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田嶋コウスケ

田嶋コウスケKosuke Tajima

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photograph byJan Kruger/Getty Images

posted2022/07/13 17:02

イギリス重鎮記者がリバプール南野拓実を“本音で総括”「ミナミノは大活躍ではないが大きな功績」「セカンドトップがベストだったが…」<Number Web> photograph by Jan Kruger/Getty Images

22年5月、リバプールでのトロフィーパレードに参加した際の南野拓実

「クロップ監督も説明していることだが、リバプールの両翼は、いわゆるウィンガーではない。通常ウィンガーならタッチライン際に陣取り、相手SBをスピードやドリブルで抜き去ることがメインの仕事となるが、リバプールではそうではない。

 リバプールの場合、攻撃時にこの両翼が中央に絞る動きで、ペナルティエリア内に侵入する。少し乱暴な言い方をすれば、両翼は〈ゴールを奪うこと〉がメインの仕事だ。それゆえ、動きの自由度が最も高いポジションであり、同時に、最も大きな責任を背負うポジションでもある。対するタッチライン際からのアタックは、サイドバックの攻撃参加で補っている。

 このような両翼の使い方は、現代サッカーのトレンドである。本来ならトップ下が適正ポジションのフィル・フォデンが、マンチェスター・Cでは両翼のポジションで使われることが多いのは、その最たる例だろう。南野のプレースタイルを考えると、リバプールの4-3-3ではこの両翼が最も適していたと思う。

 ただリバプールのような強豪クラブなら、ポジションの枠にとらわれずに自身の能力を発揮しなければならない。順応性も評価基準のひとつということだ」

南野に課題があるとすれば?

 ノースクロフト記者は南野の課題について語る。

「先述したように、ゴール周辺で敵をワンタッチでかわし、高いシュート精度でゴールを奪う能力は非常に高い。ただ、プレーの幅が狭いように思う。中盤エリアでは局面を打開するような効果的なパスワークを見せられず、1対1の場面でもドリブルやスピード、高さでマーカーを抜き去ることがほとんどなかった。こうしたプレーオプションの少なさが、リバプールで出番増につながらなかった一因だったのではないか。

 リバプールでは思うように出場機会を掴めなかったが、やはりポジションを争っていたFW陣のレベルが高すぎた。プロ選手として、出番を求めて移籍するのは自然な流れだろう。

 モナコは、フィリップ・クレマン監督が南野の獲得を強く求めていたと聞く。日本代表は、ベストの選択をしたのではないか。移籍を容認したクロップ監督を後悔させるほどの活躍を期待している」

 厳しい意見を述べつつ、ノースクロフト記者は「モナコへの移籍は選手として良い判断だと思う」と指摘した。リバプールでの貢献を評価しながら、フランスに渡った日本代表FWにエールを送った。

#1/ソン・フンミン編につづく>

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