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「きつねダンス」ブームの一方で“唯一の勝率3割台”日本ハム 新庄ビッグボスと“5つの不思議な現象、時おり天才的な采配”とは
posted2022/06/28 11:01
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS
筆者は今月、札幌ドームの日本ハム戦を観戦した。来季からの新球場の建設現場も見てきた。そして例の「きつねダンス」も見物した。
ダンスは前触れなく始まる。「きつねはなんて鳴く?」というだけのシンプルなダンスだが、チアガールの所作は独特で、中毒性がある。そして2分くらいで終わってしまう。「もう少し見ていたい」と思えるくらいのあっけなさだ。
球団のSNSでは上沢直之が意外なほどにノリノリで踊り、清宮幸太郎も楽しそうに体を動かしている。そして杉谷拳士。キレッキレのダンスは真打だろう。ここに新庄剛志監督がのっかれば、ブームはさらに拡大するはずだが、個人的にBIGBOSSはこのダンスは踊らない。それは今後も、なのではないか。
「きつねダンス」を開発したのは球団のスタッフだ。2年前から構想があったとされ、新庄監督のアイディアは入っていないことになる。
新庄監督は自身の「オリジナル」に強いこだわりがある。何事にせよ自分で発見し、案出したプランでやりたいという意欲が見える。指揮官としては当然ではあろうが――日本ハムに入団する以前、十数年も日本を離れていた。日本ハムだけでなく、この間のNPBの変化についてもほぼ知らない。
球団は、その指揮官にチームをゆだねたのだ。今季の日本ハムは「新庄監督が自軍の戦力を把握し、どう戦うかを白紙の段階から試行錯誤する」と言う前代未聞の方針でペナントレースを戦っている。
その結果として、不思議な数字がいくつか見られる。
1)起用選手数が12球団で一番多い
今季1試合でも一軍の試合に出場した選手数。カッコ内は育成含む全選手数。
日本ハム58人(79人)
巨人56人(102人)
中日56人(78人)
オリックス56人(84人)
DeNA52人(77人)
楽天52人(84人)
西武51人(78人)
阪神50人(74人)
ロッテ49人(77人)
ソフトバンク49人(105人)
広島47人(75人)
ヤクルト46人(75人)
通常、プロ野球では開幕時点で選手の評価はいったん定まる。以後は不振選手の入れ替え、故障などで調整中だった選手の入れ替え程度のはず。しかし日本ハムはすでに出場選手登録枠29のちょうど倍の58人を一軍で起用している。できるだけ多くの選手を一軍で見たいという指揮官の希望を反映していると思われる。