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森保ジャパンの課題を「ゴール期待値」で検証…3失点より深刻なチュニジア戦、インサイドMFを順位化すると1位鎌田大地、2位以降は?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/06/23 11:00
鎌田大地や田中碧らが起用されているインサイドハーフ。彼らの6月シリーズの「xG=ゴール期待値」はどうだった?
★6月2日 パラグアイ戦
実際のスコア:4対1
xG:6.58対0.49
主なスタッツ:シュート数23対8 支配率56.6%対43.4%
大量得点で勝ったという事実に目を奪われがちだが、シュートの質を考えると、決定力不足という課題が議論されるべき試合だった。シュート数の多さを4得点につなげた構図と言える。
★6月6日 ブラジル戦
実際のスコア:0対1
xG:0.51対3.31
主なスタッツ:シュート数4対18 支配率47.8%対52.2%
守備陣の踏ん張りによって内容以上のスコア(結果)で終わったと表現できる。ボール支配率に大きな差はなかったのに、日本のxGが上がらなかったのは、守備に割く労力が大きく、有効な攻撃を繰り出せなかったこととも関係がありそうだ。
★6月10日 ガーナ戦
実際のスコア:4対1
xG:2.32対0.3
主なスタッツ:シュート数14対4 支配率55.9%対44.1%
xGを約1.7上回る4ゴールを奪った。現状のベストメンバーと言われていたブラジル戦から、スタメンを9人も入れ替えて臨んだ一戦で、今シリーズで最も高い数値を記録した。出場した選手たちの決定力を、森保一監督はどうとらえたのだろうか。
★6月14日 チュニジア戦
実際のスコア:0対3
xG:0.46対1.47
主なスタッツ:シュート数6対8 支配率62.4%対37.6%
3失点のうち2失点はイージーなミスによるものだったため、xGの倍以上となる失点を喫した。ただ、フォーカスすべきはそこだけではない。
ブラジル戦より2本多いシュートを打ちながら、ブラジル戦よりxGが低かったという事実だ。つまり、作り出したシュートチャンスの質がブラジル戦よりも“かなり低かった”という評価になる。相手より先に失点して守備を固められると、ゴールをこじ開けるのは相当苦しいという現実を暗示している。
久保や原口の“点を取るための思考”が興味深い
森保監督はセットプレーの質の向上に取り組んでいると語っており、本大会に向けての準備に期待したいところ。その一方で――流れの中からの得点を増やすために、各選手がどう考えているのかを6月シリーズの証言から見ていく。
まずは、相手の動きや試合の流れを見て、判断を変える力に秀でている久保建英の言葉に耳を傾けてみよう。
「何が必要になってくるかは試合が始まるまでわからないので。展開次第ですし、監督の指示も含めて、臨機応変に対応していくのが世界レベルだと思います」
久保はそう前置きしたうえで、こう話していた。
「今は特にディフェンスの戦術もしっかりしていて、W杯になるとそう簡単には決めさせてくれないと思います。意外性という意味では、2列目や3列目の選手が上がってくることも(得点を決めるために必要)。互角とまではいかなくても、7-3、6-4くらい(の割合)で自分たちの攻め手があるときに、そういった意外性は大事になってくるのかなと思います」
日本がゴールを決める形は「大きく分けて2つ」
原口元気の指摘も興味深い。強豪相手に日本がゴールを決める形は「大きく分けて2つある」と考えているという。