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森保ジャパンの課題を「ゴール期待値」で検証…3失点より深刻なチュニジア戦、インサイドMFを順位化すると1位鎌田大地、2位以降は?
posted2022/06/23 11:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
カタールW杯でのベスト8進出という日本代表の目標を達成するために、何をすべきか。ブラジル戦を「過去の対戦時と比べて支配率が向上した」と、チュニジア戦を「守備のミスのせいで負けた」と総括するのではなく、様々な角度から現実を厳しく見つめないといけない。
だからこそ日本代表6月シリーズの4試合を、サッカー界で日に日に注目度が高まっている“ある数値”とともに振り返ってみる。
その数値というのが「xG」だ。
パラグアイ戦1ゴールの鎌田の「xG」は「0.91」
「xG」の正式名称は「Expected goals」。「xGoals」と表記されることもある。日本語に訳すと「ゴール期待値」。試合の中で打たれたシュートの価値を、ゴールへの距離や角度、相手守備陣の立ち位置などをもとに、膨大な過去のデータに照らし合わせて数値で表わすことで可視化するものだ。
例えば、あるシュートのxGが「0.1」であれば、そのシュートからは“0.1点分のゴール”を期待できるということ。すなわち、“10回に1回はゴールになる程度の難易度”だったことを意味する。
本記事の1試合におけるチームや選手のxGは、試合で放たれたシュートの「xGの総和」で記していく。
6月シリーズの試合で例を挙げると、パラグアイ戦で左のインサイドハーフとしてフル出場した鎌田は計4本のシュートを放っている。それぞれのxGは「0.32」「0.18」「0.1」「0.31」。つまり、この試合における鎌田のxGはこれらを全て足した「0.91」となる。
ちなみに——バスケットボール界では「ゴール期待値」はすでに欠かせないものになっており、シュートをよく打つエリアが以前とは劇的に変わった。“神様”マイケル・ジョーダンも、現代でプレーしていれば、異なるプレースタイルになっていた可能性が高いとも言われるほどだ。
サッカーの世界でもxGの認知度は少しずつ上がっており、イングランドやドイツではよく目にするようになった。シュートの質を可視・数値化していくことで、サッカーの理解がより深まる可能性があると期待されているからだろう。
6月シリーズ4試合の「xG」を見てみると
そんなxGの数値に基づいて、日本代表の6月シリーズの4試合を見ていこう(以下、xGは分析サイト『Wyscout』、支配率やシュート数はJFAの発表によるもの)。