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鎌田大地「バルサは信じられないくらい…でも同じ人間」「上手さには限界が」 日本代表へ還元する“唯一無二のもの”とは〈久保建英にも助言〉
posted2022/06/14 11:02
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Hideki Sugiyama
鎌田はなぜインサイドハーフを目指すようになったのか。序盤戦で先発から外されることもあった彼が21-22シーズンのフランクフルトでも欠かせない選手になれた要因は何なのか。全3回のインタビューの最終回では、かつて憧れていたバルセロナとの試合を振り返りながら、語ってもらった。(全3回/#1、#2)
カンプノウで勝てたのは感慨深かったです。だけど
「Hey、ダイチ。オマエは今日もサッカーを見ているのかよ!」
フランクフルトのチームメイトから鎌田大地は、よく、そんな声をかけられる。
「世界のサッカーを勉強しているというほどではないですけど、暇さえあればサッカーの試合の映像を見ています。それも、ヨーロッパのトップリーグからJ3まで。チームメイトからは『オマエはどのカテゴリーでも見るんだな!?』とあきれられることもありますね」
EL準々決勝のバルセロナまでの移動の際にもいつもと同じように見ていた。
「カンプノウは、僕らの世代がもっとも憧れていたバルサのホームなので。何度も映像で見ましたし、現地にも訪れて2~3試合は見ています。カンプノウのピッチでやれたのはすごく大きなことだし、勝つこともできたので。感慨深かったです。だけど……」
その答えはまた後で触れるとして――まずは、そこへたどり着くまでの苦労について振り返っていく。
シーズン序盤にはスタメンからも外されて
今シーズンから、フランクフルトの監督にグラスナーが就任した。昨シーズン、ヴォルフスブルクを率いて、リーグで2番目に失点が少ない堅守のチームを作り、CLへ導いた指揮官だ。厳格な指導者として知られる彼は、当初、選手たちにこんな要求をしていた。
「後方の選手は、中央にいる選手の足元へパスをつけるな!」
ディフェンスラインからボランチやトップ下の選手へ縦パスをつけようとして相手にカットされた場合、相手のカウンターをもろに受けるリスクが高い。そう考えていたからだ。
ところがフランクフルトの選手は、リスクを冒しながら多くのチャンスを作っていた昨シーズンまでの戦い方に慣れ親しんでおり、新監督の指示に困惑していた。しかも、ロングボール主体のサッカーに合わせて獲得された新戦力の一部もはまらなかった。鎌田も当初の様子をこう振り返る。