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鎌田大地「バルサは信じられないくらい…でも同じ人間」「上手さには限界が」 日本代表へ還元する“唯一無二のもの”とは〈久保建英にも助言〉
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/06/14 11:02
日本代表6月シリーズを前にしたタイミングでインタビューに応じてくれた鎌田大地
「『彼らも同じ人間だとわかって良かったな』と思ったんですよね、素直な気持ちとしては」
一体、どういうことだろうか。
「バルサやレアル、プレミアリーグの上位チームは、かつての自分のイメージでは別物というか、ものすごく偉大な存在でした。バルサのペドリやガビにしても、あれで18歳前後ですからね。バルサの選手は信じられないくらい上手いなと感じましたし、ずっと見てきたセルヒオ・ブスケッツも。
ただ、バルサの選手って小さいころから見ていたからこそ、はるか遠くにいる存在だとリスペクトしすぎていたとわかったんです。あの試合では『世界とはまだ差があるな』と感じたものの、想像以上の差はなくて……。つまり、僕の想像のほうが彼らの実力よりもはるか、はるか先を行っていたということなんでしょうね。
そういう意味では、『上手さには限界がある』とも感じました」
鎌田の感想はこう続く。
「やはり、ムバッペとかハーランドとか、ああいうフィジカルがすごい選手には、個人の力では到底、太刀打ちできないんですよ。それと比べれば、バルサの選手はものすごく上手いけど、『どうしようもないほどではない』とも思えた。それが良かったんですよ」
僕が目指すプレースタイルが変わったのは
以前、Jリーグの公式HPの企画で、「もしもJリーグが存在せずにサッカー以外の仕事をするとしたら、どのような職業についていたと思うか」を問われ、鎌田は「起業家やユーチューバーを目指す」可能性を挙げていた。その理由は、サラリーマンでは収入などを含めて限界が見えてしまうからだという。
「まぁ、サラリーマンを目指さないのは僕が社会不適合者だから」とジョークをまじえる鎌田だが、サッカー界の話には熱を帯びる。
「ビッグクラブへ行ってチャンピオンズリーグに優勝することは、子どものころからの夢の一つ。今のところ、幸いないことに『これ以上を目指すのはもう無理だ』とサッカーをしていて感じたことが自分にはないんです。
僕が目指すプレースタイルが変わったのは、最近はファンタジスタのような選手では厳しくて、あらゆる能力を高レベルに兼ね備えているインサイドハーフ的な選手が求められているから。僕としても『これだけは世界中で誰にも負けない』というほど突出しているものはないからこそ。すべてのことを今以上に、ハイレベルにできるようにならないといけないと考えています」
サッカー論議の最中に言葉の端々からにじみ出てくるのは、世界のトップとの比較や、トップへ登りつめたいという意欲である。
そんな鎌田は、今シーズンはEL優勝という記録に残るタイトルと、カンプノウで初めて勝利した日本人として記憶に残るような印象的な活躍を見せた。これまでタイトルやエリートコースとは無縁だったことが嘘だったかのように。
ひょっとしたら、ここまでの鎌田の活躍は、これから大きく羽ばたいていく鎌田伝説の序章に過ぎないのかもしれない。
パラグアイ戦のゴール後に語った興味深い言葉
そして、日本代表にも昨年の11月以来の復帰を果たすと、6月2日のパラグアイ戦では念願のインサイドハーフとして先発。1ゴール、1アシストを記録し、PKも獲得した。何より、ゴール前に飛び込んで決めた得点について試合後に鎌田が語った言葉には、今インタビューで明かされた努力の成果が凝縮されていた。