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鎌田大地「バルサは信じられないくらい…でも同じ人間」「上手さには限界が」 日本代表へ還元する“唯一無二のもの”とは〈久保建英にも助言〉
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/06/14 11:02
日本代表6月シリーズを前にしたタイミングでインタビューに応じてくれた鎌田大地
コスティッチは相手にプレッシャーをかける際の強度は高い。ただし、攻撃で力を出し過ぎて、守備で力を抜くことが度々ある。また攻撃時に敵陣深くまで侵入するため、相手の守備から攻撃への切り替えが早いときには、守備に回るタイミングが遅くなる。そういうシチュエーションでも、鎌田はチームに貢献してきた自負がある。
「コスティッチが前に攻め残ったりするから、彼の背後にある、彼が本来埋めるべきスペースを守備ではカバーしていました。フランクフルトの中で、自分はそういうことも他の選手よりきちんと考えながらできたのかなと感じています。監督は守備に厳しいタイプなので、そういうところでもすごく評価してもらいました」
「彼はものすごい運動量で守備的MFを……」
グラスナー監督が鎌田の守備の部分を高く評価しているのを表すこんなエピソードがある。
昨年10月から鎌田がELで3試合連続ゴールを記録すると、その活躍を評価する地元メディアからグラスナー監督に質問が飛んだ。鎌田の攻撃のパフォーマンスの質について問うものだったのだが、監督の答えはこうだった。
「彼はものすごい運動量で、相手ボールのときにはスペースを埋め、うちの2枚の守備的MFを助けてくれているのだ」
鎌田が気をつかった部分は他にもある。フランクフルトのレギュラーに定着した直近3シーズンのリーグ戦90分平均のデータを比較すると、今シーズンは「ボールを失う回数」は最も少なく、「相手からボールをインターセプトする数」が最も多かった。
「個人的にはボールを奪うときの足の出し方などは、だいぶ、賢く立ち回れるようになってきたと感じていて。実際、あれだけ試合に出たのに(*ブンデスリーガは34試合中32試合、ELは13試合すべてに出場)、今シーズンは1枚もイエローカードをもらっていないんです。勝負するところではアタックできていたし、守備もできるようになってきているのかなと感じます」
バルサの選手を“リスペクトしすぎていた”
実は、ELでチーム最多得点を記録した鎌田は、EL準々決勝のバルセロナで行なわれたセカンドレグに3-2で勝利したことで、長谷部誠とともに「カンプノウで勝利をつかんだ初めての日本人選手」となった。
ここで冒頭の話に戻ろう。鎌田にはそこで感じたことがあった。
「カンプノウのピッチで試合をやれたのは大きなことだし、勝つこともできたので感慨深かったです。でも、僕が感じたのは違うことで……」
鎌田は最も強く感じたことをこう表現する。