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鎌田大地「バルサは信じられないくらい…でも同じ人間」「上手さには限界が」 日本代表へ還元する“唯一無二のもの”とは〈久保建英にも助言〉 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2022/06/14 11:02

鎌田大地「バルサは信じられないくらい…でも同じ人間」「上手さには限界が」 日本代表へ還元する“唯一無二のもの”とは〈久保建英にも助言〉<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

日本代表6月シリーズを前にしたタイミングでインタビューに応じてくれた鎌田大地

「リスクを冒さずに『とにかく裏に走って……』という当初のサッカーに僕自身もトライしていましたけど、なかなか勝てず、シーズン序盤にはスタメンからも外されて。苦しかったですね」

 ところがシーズン途中から少しずつ、リスクを冒してアタックする前監督時代に見られたような攻撃が認められるようになり、チームは息を吹き返した。

 例えば、4月28日のEL準決勝。ウェストハムとのファーストレグで鎌田が決めた決勝ゴールの少し前などは改善された典型的な場面だ。あの攻撃は、リベロのヒンターエッガーから鎌田への縦パスが、攻撃のスイッチとなった。もしも、シーズン当初のような戦い方を続けていたら、鎌田による殊勲の決勝ゴールも、EL優勝もなかったかもしれない。

鎌田が担った“かなり独特な役割”とは

 今シーズンの鎌田はかなり独特な役割を担っていた。

 チームの基本フォーメーションは3-4-2-1と表されることが多い。「左シャドー」や「左FW」と表記される鎌田が果たす役割は、そのポジションの典型的なイメージとは少し異なっていた。右シャドーのリンドストロームは高い位置にいることが多かったが、左の鎌田はかなりの自由を与えられていたのだ。

 サイドハーフのような位置取りをしたかと思えば、ボランチよりも低い位置に落ちて、ビルドアップでチームを助ける場面もあった。中央には守備的MFが2人いる中で、鎌田はインサイドハーフのような仕事もこなすようになっていた。

 そんな鎌田が、学生時代に憧れていたのは――今やELで戦ったバルサの指揮官である――シャビのような選手だった。

 だが、今は違う。

「典型的な10番タイプというか、昔よくいたファンタジスタと呼ばれるようなタイプは、現代ではほとんど試合に出られないと思うんですよね。僕もプレースタイル的にそういうタイプだと見られますけど、それも何となくのイメージに基づいたもので。そもそも僕は『自分の最適なポジションはインサイドハーフ』と、ここ数年ずっと言い続けてきていますし」

今季の鎌田が得た新発見と監督からの賛辞

 トップ下のように見えながらも、インサイドハーフのような独特なポジションをつかみとった今シーズンの鎌田は、新たな発見も多かった。

「フランクフルトに来るのは良い監督が多いので、選手としての幅や考え方も変わるし、勉強にもなります。今シーズンのグラスナー監督は、ディフェンスの部分で学ぶところが多かったですね」

 フランクフルトの3-4-2-1では、左ウイングバックのコスティッチの攻撃力が強力な武器となっている。昨シーズンはブンデスリーガのアシストランキング2位で、今シーズンのELではアシスト王とMVPに輝いた。

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