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スポーツ百珍BACK NUMBER
「に、20億円も平均市場価格が下がったのに…」レアルは“変態的なCL名人” クリロナらの4年前と陣容を比べてみた〈久保建英・中井卓大は?〉
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byMutsu Kawamori
posted2022/05/29 17:01
14度目のCL制覇を成し遂げたレアル・マドリー。若い力とベテランが高次元で融合している
<21-22シーズンCL決勝メンバー入りレアル選手の市場価格>
【スタメン】
GK
クルトワ(6500万ユーロ/87億7500万円/30歳)
DF
カルバハル(1800万ユーロ/24億3000万円/30歳)
ミリトン(6000万ユーロ/81億円/24歳)
アラバ(5500万ユーロ/74億2500万円/29歳)
メンディ(5000万ユーロ/67億5000万円/26歳)
MF
クロース(2500万ユーロ/33億7500万円/32歳)
モドリッチ(1000万ユーロ/13億5000万円/36歳)
カゼミーロ(5000万ユーロ/67億5000万円/30歳)
バルベルデ(6500万ユーロ/87億7500万円/23歳)
FW
ベンゼマ(2500万ユーロ/33億7500万円/34歳)
ビニシウス(1億ユーロ/135億円/21歳)
【ベンチ】
GK
ルニン(200万ユーロ/2億7000万円/23歳)
DF
ナチョ(700万ユーロ/9億4500万円/32歳)
マルセロ(300万ユーロ/4億500万円/34歳)
MF
アセンシオ(4000万ユーロ/54億円/26歳)
セバージョス(1500万ユーロ/20億2500万円/25歳)
イスコ(750万ユーロ/10億1250万円/30歳)
カマビンガ(5500万ユーロ/74億2500万円/19歳)
FW
アザール(1600万ユーロ/21億6000万円/31歳)
ルーカス・バスケス(1200万ユーロ/16億2000万円/30歳)
ベイル(300万ユーロ/4億500万円/32歳)
ロドリゴ(4000万ユーロ/54億円/21歳)
マリアーノ(600万ユーロ/8億1000万円/28歳)
22人平均年齢:28.0歳、22人平均市場価格:44億8000万円(総計985億7250万円)
19~24歳:6人
25~29歳:5人
30~34歳:11人
35歳以上:1人
結論から言うと、平均年齢は1.5歳ほど上がり、平均市場価格は約20億円下がっていた。
アザール、イスコ、ベイルらの市場価値が……
ものすごく簡単に言うと、市場価格は「若くて有望株なほど高く(若くて実績がないと安い)、年齢を重ねるごとに下がっていく」傾向にある。
サブとしての役割を貫いたマルセロやナチョはともかく、全盛期と比べた際のアザール(加入時の市場価格は1億5000万ユーロ、200億円超!)やイスコ、そしてベイルらアタッカー陣の市場価格の下がりっぷりは泣けてくる……。その一方で若手に目を移すとビニシウス、ロドリゴ、カマビンガといった「10代で獲得してチームの顔にする」という最近のマドリーの補強戦略がしっかりと見えてくる。
市場価格では計り知れない中盤トライアングルの円熟
しかし何より、中盤トライアングルの3人が4年前から不変なのが凄まじい(バルベルデが補佐役になりつつ)。前で「世代交代」と書いたものの、この3人の連動性はジダン体制からアンチェロッティ体制に移っても相変わらず。アンチェロッティが率いた頃のミランが「ガットゥーゾ、ピルロ、セードルフかアンブロジーニ」という構成が円熟しきっていたのを思い出すし、サッカーは市場価格で決まるわけではないと実感する。
欧州サッカーのクラブシーンは短いバケーション、そして夏の移籍市場に入る。マドリーはムバッペを獲り逃がしたものの、ミラン優勝に貢献したラファエル・レオン獲得に163億円を用意したとの報道もある。そんなマドリーと対戦したリバプールのマネ、南野拓実らはどんな選択をするのだろう。日本人で言えばマジョルカの久保建英(900万ユーロ/12億1500万円)と、マドリー下部組織にいる「ピピ」こと中井卓大も気になるし……。
W杯が途中に挟まれる新シーズンに向けて、メガクラブはどんなチーム構成を構築するのか。何よりマドリーが「守備陣、攻撃陣すべてに注入される伝統の勝負強さ」を新たに引き継がせようと呼び寄せる人材にも注目したい。
<「レアル14度目V=守備優位時代」?につづく>