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「ダービー馬の父」から浮かび上がったトウカイテイオーとウオッカの“ある共通点”…「グレード制導入後3頭のみ」の隠れた偉業とは?
posted2022/05/28 17:03
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Keiji Ishikawa/Hirokazu Takayama
今年の第89回日本ダービー(5月29日、東京芝2400m、3歳GI)の有力馬には、新種牡馬の産駒が目立つ。
皐月賞馬ジオグリフと、3連勝で若葉ステークスを制したデシエルトはドレフォンの産駒。皐月賞2着のイクイノックスはキタサンブラック、プリンシパルステークスを勝ったセイウンハーデスはシルバーステート、そして、スプリングステークスの勝ち馬ビーアストニッシドはアメリカンペイトリオットの仔だ。
1984年のグレード制導入以降、新種牡馬の産駒でダービーを制したのは以下の7頭。
1985年 シリウスシンボリ(父モガミ)
1991年 トウカイテイオー(父シンボリルドルフ)
1993年 ウイニングチケット(父トニービン)
1994年 ナリタブライアン(父ブライアンズタイム)
1995年 タヤスツヨシ(父サンデーサイレンス)
2007年 ウオッカ(父タニノギムレット)
2009年 ロジユニヴァース(父ネオユニヴァース)
1990年代前半に多く出現したのは、既存の種牡馬の血と、バブル景気に乗って輸入された良血種牡馬の血との入れ替わりが進んだからか。もし今年新種牡馬の産駒が勝てば、長らくつづいたディープインパクトの黄金時代末期の事象のひとつとして語り継がれるのかもしれない。
3例しかない「新種牡馬かつダービー父仔制覇」
さて、ダービーと血統に関して、「ダービー馬はダービー馬から」という格言がある。ダービーの父仔制覇は、キングカメハメハとディープインパクトが種牡馬となってから特に目立つようになった。
では、新種牡馬の産駒で、なおかつダービー父仔制覇を果たした馬はどのくらいいるのか。グレード制導入以降は、上記7頭から3頭に絞られる。
トウカイテイオー、ウオッカ、そしてロジユニヴァースである。
これら3頭には、新種牡馬の産駒としてダービー父仔制覇を果たしたことのほかにも、なるほどと思える共通点がある。