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「ダービー馬の父」から浮かび上がったトウカイテイオーとウオッカの“ある共通点”…「グレード制導入後3頭のみ」の隠れた偉業とは? 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKeiji Ishikawa/Hirokazu Takayama

posted2022/05/28 17:03

「ダービー馬の父」から浮かび上がったトウカイテイオーとウオッカの“ある共通点”…「グレード制導入後3頭のみ」の隠れた偉業とは?<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa/Hirokazu Takayama

ともに3馬身差でダービーを圧勝したトウカイテイオー(右)とウオッカ。両馬のダービー制覇の裏には、着差以外にも“ある共通点”があった

 そして次走、不良馬場で行われた第76回日本ダービー。皐月賞と同じ1枠1番から出たロジユニヴァースは道中、3番手の内につけた。そして直線、内埒沿いから抜け出し、2着のリーチザクラウンに4馬身差をつけて優勝。前走14着からの優勝は、1962年フエアーウインの皐月賞11着からの優勝という、ダービーの“大逆転記録”を破る新記録となった。

 レース後に行われた共同会見で、横山は、「今日はしゃべりますよ」と微笑み、報道陣を笑わせた。普段あまりしゃべらない横山がそう言ったのは、ダービー初勝利の喜びに加え、前走の大敗から巻き返した騎乗馬の走りに対する満足感が大きかったからだろう。

3頭に共通する「強さと脆さ」の秘密は牝系にあり?

 トウカイテイオーも、ウオッカも、そしてロジユニヴァースも、勝つときは圧勝で、負けるときはあっさりだった。

 テイオーの6代母は、1937年に牝馬として初めてダービーを制したヒサトモだった。テイオーの伯母にはオークス馬トウカイローマンがいる。

 ウオッカの6代母は谷水氏が「生産者垂涎の血」と評した名牝シラオキで、11代母は、1907年にイギリスから輸入され、日本に一大勢力を築く「小岩井の牝系」の1頭、フロリースカツプ。同馬が輸入されてからちょうど百年後の2007年のダービーで、ウオッカは大仕事をやってのけたのだ。

 そしてロジユニヴァースの2代母ソニンクは、孫の世代からロジのほか、2017年に秋華賞、19年にイギリスのナッソーステークスを制したディアドラや、昨年の富士ステークスや今年サウジアラビアで行われた1351ターフスプリントを勝ったソングラインを送り出すなど、牝系の枝葉をひろげている。

 3頭とも、父とのつながりばかりが注目されがちだが、実は母系もすごいのだ。

 テイオーもウオッカも、そしてロジも、強さと脆さの同居するところが個性になっているのは、ある意味、良家の子女らしさと言えるのかもしれない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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