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箱根駅伝“まさかのシード落ち”から続いた悪夢…「これからどう変わっていけるか」名門・早稲田は復活できるか?
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2022/05/26 11:02
今年の箱根駅伝で3年ぶりにシード権を失った名門。早稲田大。その後も続いた厳しいチーム状況から、ようやく復調の兆しが見えてきた
「1年生もそうだし、4年生の安田博登、2年生の菅野雄太といった選手が初めてエンジを着て、大学のレベルを経験したのは収穫だったと思います。今までは固定されたメンバーに頼りっぱなしの部分がありましたから。
初めて対校戦を走ったメンバーに聞いたら“応援がすごく多くて楽しかった”ということと“やっぱり悔しいです”ということを言っていました。憧れのユニフォームを着て応援してもらえることに喜びを覚えつつも、弱くてはいけないということを肌で感じたのは大きい。こればっかりはエンジを着て大会に出ないと分からないことなので」(相楽監督)
少数精鋭といえば聞こえはいい。10月の箱根駅伝予選会を突破するには、中間層の底上げは必須なだけに、新たな戦力が大きい舞台を経験できたのは好材料になった。
ハーフマラソンに出場した安田と菅野は、それぞれ15位、19位という結果だった。「力を出したところは評価できるが、もっと力を付けないといけない」というのが相楽監督の評価であり、“活躍した”とまでは言えないかもしれない。それでも、箱根予選会を見据えれば、現時点では及第点だろう。
1年生では、1500mに間瀬田純平、5000mに山口智規が出場し、期待のルーキーがさっそくエンジデビューを果たした。
「夏合宿などでしっかり走り込んで、1500mから長い距離までしっかり走れるようになっていきたい。自分の個性を生かして、駅伝でチームに貢献できたらいいなと思っています」(間瀬田)
「先輩方も、指導者の方々もすごく優しくて、競技に夢中になれる環境を作ってくださっている。ケガをせずに練習を積んで、トラックでしっかり日本のトップレベルにいきたい」(山口)
それぞれの種目で高校歴代4位、高校歴代3位の記録を持ち、高い志を抱く。
共に故障明けだったこともあり、予選、決勝と2本揃えられず、入賞には届かなかったが、積極的に先頭を引っ張る場面もあった。低迷するチームにとって、実力のあるルーキーの存在は起爆剤になりそうだ。
名門復活に向けて、着実に一歩を踏み出した
「この関東インカレで良かったことも悪かったこともあるので、それらを生かして、これからどう変わっていけるかが大事なのかなと思います」(相楽監督)
“復調の兆しが見えた”というよりも“新生・早稲田がようやく始動した”という表現のほうがもしかしたら適切かもしれない。
小指卓也(4年)、佐藤航希(3年)、諸冨湧(2年)といった箱根経験者は関東インカレに不出場で、駅伝主将の鈴木創士(4年)は、直前にアクシデントがあり、ハーフマラソン途中棄権に終わっており、足並みが揃ったとはまだまだ言い難い。それでも、名門復活に向けて、着実に一歩を踏み出したと言えるだろう。