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箱根駅伝“まさかのシード落ち”から続いた悪夢…「これからどう変わっていけるか」名門・早稲田は復活できるか?
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2022/05/26 11:02
今年の箱根駅伝で3年ぶりにシード権を失った名門。早稲田大。その後も続いた厳しいチーム状況から、ようやく復調の兆しが見えてきた
なかでも、シーズンインから存在感を示してきたのが、3年生の菖蒲だ。
「去年までは下級生という立ち位置でしたが、4年生の人数が少ないなか、3年生でも最上級生と同じように引っ張って行こうという気持ちでやってきました。結果でしっかり示さなきゃと思っています」
4月中旬の日本学生個人選手権は、3000m障害で大会新記録で優勝を果たした。そして、関東インカレでは昨年に続き、2種目で表彰台に立った。箱根駅伝は2年連続で直前にケガがありスタートラインに立てなかったが、今季は競技でも、競技外でも、チームを鼓舞し続けている。
4年生の井川は、5月7日の日本選手権10000mにはうまくピークを合わせられなかったものの、28分23秒16(総合19位)とまずまずのタイムで走った。そして、関東インカレにはきっちりと調子を合わせてきた。2位という好成績にも「優勝を目指してきたので、学生生活で最高順位ですけど、悔しさが残りました」と話すのは、高い意識で取り組めているからだろう。
「去年の強い先輩たちが抜けて、チームのレベルは少し下がりましたが、“みんなで強くなろう”っていう意識を持って、生活面などいろんな面の基準が上がってきている。僕も、少しでも上げられるようにやっていきたい。普段の練習では先頭に立って、背中を見せていきたい。駅伝シーズンは全ての駅伝で区間賞を取るぐらいの存在感を示していきたいと思っています」
これまでは高いポテンシャルを覗かせながらも、好不調の波もあったが、最上級生としてチームの牽引役を担う覚悟を固めている。
佐久長聖出身・伊藤大志が高校歴代2位記録ぶりの自己新
石塚と伊藤は、5月4日のゴールデンゲームズinのべおかで、共に5000mで自己記録を更新した。
特に伊藤は、長野・佐久長聖高時代に高校歴代2位(当時)をマークした後なかなか塗り替えられずにいた。
「今のやり方が自分に合っているのかなって、ちょっと自分に自信がなくなる場面もあり、正直悩んでいました。けど、自己ベストを更新するレースができて、これまでのプロセスが間違っていなかったなということを確認できました」
高校時代の自分をようやく超えることができ、安堵の言葉を口にした。
関東インカレでは、石塚、伊藤ともに5000mに出場した。共に順当に決勝に駒を進めたものの、石塚はラストスパートのキレを欠いて12位、伊藤は自己記録を出した直後に熱を出した影響もあって16位だった。悔しい結果に終わったが、課題は明確であり、今シーズンを通して修正してくるだろう。ルーキーイヤーから学生三大駅伝に出場した2人には、主力としての活躍がこれまで以上に期待されるだろう。
箱根予選会突破のためには「中間層の底上げ」が必須
関東インカレでの収穫は、主力の活躍ばかりではない。