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大谷翔平に敗れた敵将「あの男がやったことがリアルだとは思えない…」投球データを調査して分かった“ある球種の劇的な増加”
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2022/05/13 17:05
5月6日のレッドソックス戦に登板し、11奪三振の活躍で勝利に貢献した大谷翔平
昨季はブルワーズのコルビン・バーンズが先発28試合、わずか167.0イニングでナショナル・リーグの「サイヤング賞」を獲得している。前出の「仮想・先発数&イニング数」ではそれにも届いていないが、今季は労使交渉のもつれから長引いたロックアウトの影響で、どの投手も全体的にわずかながらイニング数が減少すると見られている。
何もかもポジティブに考えると、バーンズのようにリーグ最優秀防御率を記録し、さらに奪三振率や奪三振/与四球率など「Dominant=圧倒」系の数字が突出していれば、たとえば、昨季のサイヤング賞投手である左腕ロビー・レイ(193.1回 昨季ブルージェイズ/今季マリナーズ)のような「一年を通じて働いた」という印象は必要ないのではないか。わずか152イニングでも「サイヤング賞」に手が届くのではないか、と思うわけだ。
大谷のサイヤング賞獲得のために必要なこと
もしも、大谷が「中6日」の先発ローテーションを守った上で、同僚ノア・シンダーガードやマイケル・ロレンゼン、あるいは左腕パトリック・サンドバルを凌ぐ安定感で投げ続けることができれば、「エンゼルスのプレーオフ進出に必要不可欠だった」という意義も出てくる。
昨今のMVP投票やサイヤング賞投票は、チームの成績とは無関係になってしまったようだが、今でも投票権を持つ全米野球記者協会に所属する記者の中には、「MVPはチームの好成績にもっとも貢献した選手」や、「サイヤング賞はこの投手抜きにチームの好成績はあり得なかった」といった伝統的な基準に重きを置いている人がいる。
彼らにその考えを強く想起させるには、レッドソックス戦のような登板を重ねて、エンゼルスがア・リーグ西地区の優勝争いを続けることが必要不可欠であり、マイク・トラウトやアンソニー・レンドンが健康な今年に限って言えば、「打者」よりも「投手」大谷のパフォーマンスが、かつてないほどチームの成績に影響していくだろう――。
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