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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「カマダはコンスタント、ハセベは…」2人を高評価する34歳“若者言葉”の世界的名将が、バイエルンで「人心掌握」できるワケ
posted2022/04/03 06:01
text by
アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge
photograph by
Getty Images
バイエルンを率いるユリアン・ナーゲルスマン(34歳)は、ドイツを代表する新世代の戦術家として知られている。
だが、本人はこう言い切る。
「監督にとって戦術より、人心掌握の方がはるかに大事だ」
28歳でホッフェンハイムの監督になってチームを奇跡の残留に導いたあと、ナーゲルスマンは『Sport Bild』誌のインタビューで語った。
「サッカーの戦術のようなノウハウは本から勉強できる。だが、人心掌握はそうはいかない。チームにいる23人の選手たちをどうやって同じ方向に向かせるかは、知識からは身につけられない」
のちにナーゲルスマンはその割合を「戦術30%、マネジメント70%」と表現した。
ナーゲルスマンにマネジメント論、そして日本人選手について話を聞いた。
「若者言葉」を使う監督として知られているが
――あなたは選手との年齢差がほとんどなく、「若者言葉」を使う監督として知られていますね。選手との1対1の話し合いで大事にしていることは?
「信頼を示したうえで、プレーのどこを直してほしいか、細部をしっかり伝えるようにしている。普段から注意深く観察するのは、選手がこちらのアドバイスを受け入れようとしているかどうかだ。もし練習でプレーを改善する姿勢が見えたら、次のステップに進める」
――ロベルト・レバンドフスキやトーマス・ミュラーのような完成した選手に、新しいことをやらせるのは簡単ではないのでは?
「その点、私は恵まれている。彼らは“満腹”になっておらず、常に学ぶ姿勢があるからだ。成長が止まることを良しとしていない。彼らは新しい戦術に興味を持っている。そういう向上心と好奇心が、彼らのキャリアを輝かしいものにしているのだろう」
――レロイ・サネは調子が気分に影響されると言われ、昨季は右ウイングのポジションで期待されたような結果を出せませんでした。それが今季は左ウイングからやや内側に入った「ハーフスペースの10番」の役割で、大活躍しています。メンタル面では、どうアプローチしましたか?
「レロイはときどき周囲からの厳しい声を必要とする選手だ。私は1対1の話し合いだけでなく、チームの前でレロイについて話し、彼を変えようとした。練習中にみんなの前で『気分が乗らないなら帰っていいぞ!』と叱咤したこともある」