サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ベトナム戦で浮上したW杯本大会への“不安材料”とは? 快勝オーストラリア戦のウラで見過ごされていた「森保ジャパンの大きな課題」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2022/03/30 17:01
24日のオーストラリア戦で2ゴールをあげた三笘薫は先発フル出場。ベトナム戦でも攻撃のキーマンとなったが、相手の厳しいマークに手を焼いた
「引いた相手を崩せない」は喫緊の課題ではない
CKにはマンツーマンで対応していた。メンバーが入れ替わったことは、マークがズレた理由にならない。勝ち切れなかったことよりも、失点につながるスキを見せてしまったことを、教訓にしなければならない。
ベトナム戦の日本は、23本のシュートを記録した。それで1点なのだから、「引いた相手を崩せなかった」と言われても仕方がない。
これが最終予選の序盤なら、この日の内容は深刻に受け止めなければならない。アジアを舞台とする公式戦を戦い抜いていくうえで、守備的な相手をどうやってこじ開けるのかは大きなテーマになってくるからだ。
しかし、W杯は違う。欧州や南米のチームが、日本相手にベトナムのようなゲームプランで臨んでくることはないだろう。W杯を念頭に置くと、「引いた相手をいかに崩すのか」は喫緊の課題ではない。
不安材料は「流れのなかで修正できない」こと
むしろ気になるのは、試合中の「修正」だ。
過日のオーストラリア戦は、序盤からオープンな展開となった。戦前の予想より攻めることができた一方で、際どいカウンターを浴びた。相手ゴールに何度も迫っていたが、撃ち合いは日本が望む展開ではない。負けたら2位から3位に転落することを考えると、0対0の時間帯を長くすることが望まれていた。それなのに、互いに攻め合う展開のまま前半を終えた。試合を落ち着かせることができたのは、ハーフタイムを挟んだ後半からだった。
流れのなかで修正を加えられなかったのは、ベトナム戦も同じである。実戦では組んだことのないコンビやブロックが多かっただけに、コンビネーションがすぐに発揮されないのは仕方がない。しかし、歯車が噛み合わないまま前半が終わってしまったのは、W杯本大会を見据えると不安材料にあげられる。