甲子園の風BACK NUMBER
3校初戦敗退、22失点で再燃 “21世紀枠の是非・センバツ地域枠問題”の根本は?〈聖隷クリストファー落選も無関係じゃない〉
posted2022/03/29 17:03
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Hideki Sugiyama
「21世紀枠の高校に勝つのは当たり前」
「聖隷クリストファーなら、もっと大差で勝てた」
大垣日大(岐阜)がセンバツ初戦で只見(福島)に勝利すると、インターネット上に心ないコメントが並んだ。コメントを投稿した人の不満や批判の矛先は、おそらく日本高等学校野球連盟に向けられている。だが、結果的に大垣日大と只見、両校の選手たちや関係者を傷つけた。
大垣日大の選出は、当事者さえ予想していなかった。
センバツ切符をかけた昨秋の東海大会準決勝で、大垣日大は優勝した日大三島(静岡)に5-10で敗れた。終盤に得点し、何とかコールド負けを回避した内容だった。決勝で日大三島に敗れた聖隷クリストファー(静岡)は3-6の接戦。センバツに出場する東海地方の2枠は、決勝に進んだ2校で決まりとの見方が大勢を占めていた。
ところが、選ばれたのは日大三島と大垣日大の2校。大垣日大の阪口慶三監督は「センバツ出場は100%ないと思っていました。まさしく夢の夢」と驚きを隠せなかった。一方、聖隷クリストファーの上村敏正監督はセンバツに向け、チーム作りだけでなく、荷物の移動などの準備も進めていた。まさかの落選に「選ばれるものだと思っていました」と声を詰まらせた。
大垣日大vs只見になったことで別の問題が再燃
夏の甲子園と違い、「センバツ」には出場校の選考に明確な基準はない。ただ、地区大会の上位校が選ばれるのが通例だったことから、大垣日大の選出に議論が巻き起こった。
東海地区選考委員長は「個人の力量で勝る大垣日大か、粘り強さの聖隷かで選考委員の賛否が分かれましたが、投打に勝る大垣日大を推薦校としました」と選考理由を説明。静岡県から2校を選ぶ地域性を「全く考慮していません」と全面的に否定したことが、騒動を大きくした。
高野連の説明に納得できない世論の一部からは、いつしか「大垣日大が出場を辞退すべき」との声も上がった。何の非もないにもかかわらず、夢の舞台に立つ権利に異議を唱えられた大垣日大ナインは、“逆風”を受けながら聖地に立った。そして、初戦の相手が21世紀枠の只見だったことで別の問題が再燃した。
21世紀枠の是非――。