甲子園の風BACK NUMBER
3校初戦敗退、22失点で再燃 “21世紀枠の是非・センバツ地域枠問題”の根本は?〈聖隷クリストファー落選も無関係じゃない〉
text by
間淳Jun Aida
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/03/29 17:03
21世紀枠で初出場を果たした只見
昨秋の九州大会で準優勝し、今春のセンバツに“自力”で出場した大島(鹿児島)だ。
2014年に初めて甲子園に出場した時は21世紀枠だった。8年前、聖地のアルプススタンドから試合を見ていた野球少年の中には、今の大島のエースでプロ注目の大野稼頭央投手もいた。
チームには甲子園に初出場した姿を見て、大島に進学した選手も少なくない。聖地を目指して鹿児島市へ“流出”していた選手が、地元に残るようになった。
さらに、離島ならではの苦労も軽減された。
大島が対外試合をするには、奄美大島から船で10時間をかけて鹿児島市に行かなければならない。しかし、21世紀枠で甲子園に出たことで、鹿児島市内の高校や県外の強豪校が奄美大島を訪れるようになったという。大島は2014年、龍谷大平安(京都)に2-16で大敗している。全国の高い壁に跳ね返されたが、8年を経て全国で戦えるチームへと成長した。
問題の根本は、高野連への不信感にたどり着く
人それぞれに考え方や価値観が異なる以上、21世紀枠の是非は今後も続く。
数字や結果といった明確な基準がないセンバツ出場校の選考も同様だ。聖隷クリストファーの落選を受けて、高校野球ファンからは「東海地方の枠が2つなのが問題」、「東京枠も見直すべき」といった本筋から派生した疑問や不満が噴出した。
問題の共通点や根本をたどると、高野連への不信感にたどり着く。
時が流れても一度つくった仕組みを変える必要性を検討せず、重要事項は密室で話し合われて決定に関する説明が足りない。旧態依然、透明性の欠如などと揶揄される。どんな問題にも賛否は分かれ、世間から反対や反論がゼロになることはないだろう。
ただ、高野連は批判の矛先が球児に向くリスクを忘れてはならない。
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