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青学大トレーナーが泣いた日… 箱根駅伝圧勝の裏にあった中野ジェームズ修一の“厚底シューズ対策”「以前は大反対だったんです」

posted2022/03/16 17:02

 
青学大トレーナーが泣いた日… 箱根駅伝圧勝の裏にあった中野ジェームズ修一の“厚底シューズ対策”「以前は大反対だったんです」<Number Web> photograph by Mami Yamada

2014年に青山学院大学陸上競技部長距離ブロックのフィジカルトレーナーに就任した中野ジェームズ修一氏。その後、同大学は箱根駅伝で4連覇を含む6度の総合優勝を達成した

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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Mami Yamada

青山学院大学が2位以下に大差をつけて大会新記録で優勝を果たした第98回箱根駅伝。圧勝の背景には、“厚底シューズ対策”として取り組んだフィジカル強化があった。同大学のフィジカルトレーナーを務める中野ジェームズ修一氏が、トレーニングメニューを刷新し、試行錯誤を繰り返した1年間を振り返る。(全2回の1回目/後編へ)

 長距離走の世界に“革命”をもたらした厚底シューズ。そのきっかけになったのが、2018年、立て続けにマラソンの日本新記録をマークした設楽悠太や大迫傑が履いていたことで注目を集めたNIKEの「ヴェイパーフライ」シリーズだ。カーボンファイバープレートを内蔵した厚いソールが特長で、スピードアップのために必要な“足の折りたたみ”の機能を果たしてくれるため、ランニング効率が飛躍的に向上。上記の記録更新につながった。

 革命的なシューズは当然、箱根駅伝も掌握していく。2020年に開催された第96回大会では85%弱の選手たちが同シューズを履き、当時の大会新記録で総合優勝した青山学院大学は当然のこと、他大学の選手たちも厚底で箱根路を駆け抜けた。

チームに同行できなかった2021年大会の無念

 しかし、ギアの進化は必ずしもプラスに働くだけではなかった。カーボンファイバーの反発力によって、フォームを崩す選手も少なくないという。

「以前の長距離走では、自分自身の足の特長を使い、足の機能を最大限邪魔しないシューズが良しとされてきました。機能をそぎ落としてでも、より軽くして、素足に近い状態で走れる靴が良いと。しかし、厚底シューズはそんな思考とは180度、正反対の理論で生まれたものです。筋肉が担ってきた仕事をシューズがやる。個人的にも、今までと同じトレーニングでいいわけがない、という考えはありました。選手のフォームが崩れていることも気になっていた。でも、まだエビデンスは少ないし、海外のトレーナーの知見が発表されているわけでもない。それでも厚底に対応するため、アップメニューの構成を大幅に変えました」

 2014年から青山学院大学のフィジカルトレーナーを務める中野ジェームズ修一は、厚底シューズ対策の必要性を感じ、優勝した2020年の箱根駅伝後、対応に動いていた。しかし2021年の第97回大会は、往路で12位と大きく出遅れ、復路優勝で巻き返したものの総合4位という成績に終わる。この大会で、中野はチームに同行していない。青学を指導するようになって初めてのことだった。

【次ページ】 「大反対」だったウェイトによる強化を決断

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