JリーグPRESSBACK NUMBER
「奥さん同士が給料でケンカ」「暴行事件で解雇も…」敏腕サッカー代理人に聞く、Jリーグで成功するブラジル人、失敗するブラジル人の“差”
posted2022/03/25 11:01
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
Getty Images
昨季、J1で2連覇を果たした川崎のなかで、最も重要な働きをしたのがリーグ35試合出場で23ゴールを挙げ、MVP&得点王に輝いたブラジル人FWレアンドロ・ダミアンだった。
今季もJリーグではJ1だけで84人の外国人選手が登録されている(2月1日時点)。日本代表クラスの選手の多くが海外に活躍の場を求めている昨今、チームの主軸としての活躍が期待される彼らの出来不出来がチームに与える影響は少なくない。ただ、外国人選手と一口に言っても、性格やプレースタイルはもちろん、国籍や話す言語、ポジションは様々。では、どんな選手がJリーグに馴染みやすいのか。Jリーグ開幕前年の92年からクラブのコンサルティングを通してブラジル人を中心に多くの外国人選手の移籍にかかわってきた代理人、株式会社スポーツ・ソリューション・インターナショナル代表の稲川朝弘氏に聞いた。
昨季のJリーグベスト11に選出された外国人選手は4人。そのうちイニエスタ(神戸)を除く、レアンドロ・ダミアン、ジェジエウ(川崎)、ランゲラック(名古屋)の3人は稲川の事務所とエージェント契約を結ぶ選手だった。
これまでもJリーグの歴代外国人通算得点記録2位のウェズレイ(元名古屋など)や11年に柏をJ1優勝に導き、MVPを獲得したレアンドロ・ドミンゲス(元柏など)らの代理人を務めてきた稲川だけに、彼らの活躍は決して偶然ではないだろう。
では、彼ら“Jリーグで結果を出せる外国人”に共通しているものは何か。稲川は「シンプルに言えば、真面目さや謙虚さは絶対。それに何か1つ武器を持っていれば」とし、こう続けた。
「ランゲラックについていえば、GKという特殊なポジションながら(18年の加入)当初からレギュラーに定着できたことで、うまくフィットできた部分はあったと思います。人柄がいいし、コミュニケーションをよく取るタイプで、学ぶ姿勢もある。昨季、初めてベスト11に選出されましたが、それ以前からいいプレーを続けていました。
ジェジエウは(19年の)加入当初こそ川崎のDFラインのコントロールやビルドアップのテンポの速いサッカーに馴染むのに時間がかかりましたが、能力を考えれば活躍は時間の問題だと思っていました。日本の生活を含めて、珍しいくらい何の不満も口にしないタイプですし、19年7月にチェルシー(イングランド)と試合をしたときには元ブラジル代表のダビド・ルイス以上の将来性を感じさせるプレーを見せていたほどでしたから」
「じつは中国のクラブからオファーがあった」
一方、ブラジル代表歴もあり、12年ロンドン五輪得点王というキャリアを引っ提げて川崎入りしたレアンドロ・ダミアンは、来日1年目の19年は23試合(9ゴール)でピッチに立ったものの、出場時間は限られベンチで過ごすことも多かった。