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「日本では給料日が前倒しになるの?」サッカー代理人が明かす、なぜブラジル人選手は日本が好きか?「治安がいい…だけじゃない“お金の事情”」
posted2022/03/25 11:02
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph by
Getty Images
ブラジルでは「年間800人以上が海外移籍している」
今季のJリーグ(J1~J3)では外国人選手が計156人登録されているが、そのうち89人と最も多いのがブラジル人で、J1に至っては84人中50人と約6割の助っ人がブラジル人選手である(2月1日時点)。W杯最多優勝国(5回)にして、サッカー王国と言われるものの、ほぼ地球の裏側に位置する遠く離れた日本で、なぜこれほど多くのブラジル人選手がプレーしているのか。
Jリーグ開幕前の92年からブラジル通の代理人として活動し、何人もの選手を日本に連れてきた代理人・稲川朝弘氏。元々はオランダの英雄ヨハン・クライフに憧れヨーロッパサッカーに関心があったというが、ブラジルに行ってみると独特の魅力と人材の豊富さに惹かれて代理人ビジネスを展開するようになったと振り返る。
「最初はサッカーの世界一はどこかと考え、単純にブラジルだと思い行くことにしました。実際に行ってみると全国リーグが4部まであって、さらに各州に4部近くまでプロリーグがあるわけです。こんなにもクラブがあってサッカー選手がいる国はほかにない。何年か前にCBF(ブラジルサッカー連盟)の関係者に話を聞いたところブラジル人のサッカー選手は年間に800人以上が海外に移籍しているというんです。だから、ブラジル人選手はネパールだろうがボスニアだろうがどこにでもいる。こんなに“優良コンテンツ”が眠っている場所はほかにないですよ」
そもそもブラジルにはプロサッカー選手が1万人以上いるとされ、パイ自体が大きい。
「かつてのロマーリオのようにストリートサッカーから出てきたような選手は、いまの時代ほとんどいません。ただ、そのぶん小さい頃からスクールに通い、クラブでしっかり教育を受けてきた選手が多い。つまらなくなってしまったと言えばそうかもしれないですが、その数は圧倒的です」
速さ、強さ、技術。三拍子揃っているような選手は、早くから欧州のビッグクラブに目をかけられる。一方で、Jリーグには開幕当時から多くのブラジル人選手が活躍してきた土壌があるだけに、いまも昔もブラジル人選手にとってJクラブへの移籍は黄金ルートの1つなのである。
ブラジルでは「奥さんもきらびやかな格好ができない」
ブラジル人選手が日本を好む理由として、まず挙がるのが治安のよさだ。