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「棚っちょには感謝ですね」獣神サンダー・ライガーが新日本のエース棚橋弘至に語った“引退式で『怒りの獣神』大合唱”のウラ話
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byShunsuke Mizukami
posted2022/03/08 11:00
新日本のエース棚橋と引退したライガーが、プロレスラーと入場曲の関係を熱く語った
『HIGH ENERGY』は新日本プロレス復興を象徴?
棚橋 大学時代ですから失恋ぐらいしますよね。だけど、失恋の傷をプロレス入場曲で癒したのは僕だけだと思います(笑)。
ライガー そりゃそうだよね。でも、入場曲にそんな力まであるのはすごい。
棚橋 僕は入場曲を聴くと、その選手の姿が頭に思い浮かんでくるんですね。試合の画とか、必死に頑張ってる姿とか。それが入場曲の一番の魅力であり、入場曲を聴くとその選手の試合が脳内再生されるので、モチベーションや、やる気がすごく湧いてくるんですよ。
――そういう意味では、棚橋選手が以前使っていた『HIGH ENERGY』も頑張ってる姿が思い浮かぶ曲ですよね。棚橋選手や新日本の人気が上がっていく過程と曲がリンクして、新日本プロレス復興を象徴する曲みたいに言う人も多いですから。
棚橋 あの曲は、どんどん上を目指していかなきゃいけない棚橋の背中を押してくれましたね。だから、今は『LOVE&ENERGY』という次の曲を使ってますけど、以前の僕を知ってるファンは、やっぱり『HIGH ENERGY』が好きという方が多いです。
――『HIGH ENERGY』を作る際、棚橋選手自身もいろいろとアイデアを出されたんですよね?
棚橋 そうですね。作曲者の方と個別に話し合って。僕は当時のキャッチコピーが「太陽の天才児」だったので、「聴くだけで元気になれるような曲をお願いします」と、イメージを伝えました。あと、タイトルは僕が付けるということだったので、観客席にエネルギーを与え、こちらもエネルギーをもらうようなイメージで『HIGH ENERGY』と付けました。
――棚橋さんの場合、入場だけでなく試合後も『HIGH ENERGY』をずっと流して、ファンと交流することで最後までエネルギーを充満させてましたよね。
棚橋 試合自体よりも試合後のアピールが長いっていう(笑)。試合後にリングサイドを回って、ファンの方と握手やハイタッチをしている間に曲が2~3回転して。皆さんが繰り返し聴いているからこそ、記憶に残る曲になったのかもしれませんね。
「素顔時代はロッキーに似てるってことで…」
――ライガーさんはデビューから一貫して『怒りの獣神』を使用してますけど、ファン時代に「レスラーになったらこんな曲で入場したい」と思ったものはありますか?
ライガー KISSの『デトロイト・ロック・シティ』ですね。聴くとなんか気分がアガるなって。ただ、ライガーになったからには、アニメの主題歌がもうあるんでね。全然関係ない曲を流しても、しょうがないし(笑)。