――蝶野正洋さん自身も言ってますからね。「俺は入場だけでいいんだよ」って（笑）。実際、ベテランの一流選手は、入場だけでファンの記憶を刺激して、満足させちゃいますからね。

ライガー　それはそれですごいよね。

棚橋　僕の場合は『HIGH ENERGY』がファンの記憶に残りすぎていて、今使ってる『LOVE＆ENERGY』はいい曲なんですけど、試合の記憶が足りないんです。だから、これから僕がもっと皆さんの記憶に残る試合を積み重ねていったら『LOVE＆ENERGY』も、もう一段階ハネるんじゃないかって気がします。

大合唱で締めくくったライガーの引退試合

――ライガーさんの『怒りの獣神』は、1月6日に大田区総合体育館で行なわれた引退式で、観客みんなで合唱するという。最後に大きな思い出が残りましたよね。

ライガー　あれは棚橋選手が「みんなで唄いましょう！」って言ってくれて、ああなったんですよ。カラオケでも唄える手軽さも、あの曲の良さなんじゃないかな。

棚橋　プロレスファンなら、必ず一度はカラオケで唄ってますからね。

ライガー　引退式ってどうしてもしんみりした感じになるものですけど、僕は楽しく終わりたかったんですよ。それをあの大合唱で雰囲気を変えてくれたので、棚っちょには感謝ですね。

――あんな多幸感溢れるハッピーな引退式もなかなかないですよね。

ライガー　みんなニコニコして、新年会かと思ったよ（笑）。あんな風にみんなで唄うなんて、僕も知らなかったんで、ビックリした。でも棚橋選手のおかげで、最高の締めくくりができたと思います。

棚橋　あの時、選手みんながリング上に残って、ライガーさんだけが曲とともに去っていったのが象徴的なシーンでしたよね。僕らが見送って、ライガーさんからは「お前ら、あとは任せたぞ！」って言われてる感じがして。

ライガー　僕は去っていく立場ですから、本当にそんな気持ちでしたよ。さっき棚橋選手が言ったように、選手たちにはこれからたくさん、曲とともに記憶に残る試合を積み重ねていってもらいたいですね。