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「アバウトさは相変わらず」高橋も戸郷も若手投手が伸び悩み…巨人・桑田真澄コーチが今やるべき“33年前、グアムキャンプの恩師の教え”とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shimbun
posted2022/02/27 17:03
キャンプで高橋優貴とボールの握りを確認する桑田真澄投手チーフコーチ
「去年1年間は診察の期間。今年は治療をする」
今季からチーフコーチとして投手陣の全権を委ねられた桑田コーチ。真っ先に掲げたのが制球力の向上というテーマだった。ところがキャンプも終盤になったこの時期にも、一向に答えを見せられない若手投手たちに、少なからず苛立ちを覚えていたとしても不思議ではないかもしれない。
「去年1年間は診察の期間。今年は治療をする」
こう語ってスタートした桑田コーチのキャンプ。
選手に訴えたのは制球力の大事さと、そのためのライン出しという考え方だ。
キャンプではコントロールを磨くために18・44mのバッテリー間を1m短くしたものをブルペンに作って、まずは短い距離から徐々に制球力を養うなどのアイデアも出した。またスタミナ向上を目指し投球テンポを早めて10球投げる「10球インターバル」や事前にカウント球や見せ球、決め球を宣言して投げる意識づけの練習など、さまざまな課題を与えてスタートを切った。
短縮ブルペンを使ったのは宮崎キャンプ初日の高橋くらい
ところが短縮ブルペンを使ったのは宮崎キャンプ初日の高橋くらいで、桑田コーチのアイデアは生かされないままに進んできてしまった事象もあった。
もちろんブルペンでは熱心に投手陣の投球練習に視線を注ぎ、ときおりアドバイスを送る背番号73の姿がある。ただ、まだ手取り足取りという感じの本格的な技術指導を行うところは、ほとんど見られていないのが現状なのだ。
そして結果は……冒頭の“惨状”である。
もちろん高橋にしても戸郷にしても、制球力の大事さは嫌というほど知っているはずだ。ライン出しをしようとも思っているはずだ。しかし、そう思って、トライしてもまだなかなかできない。そこには意識づけだけでは解決できない、何らかの技術的な問題があるということなのだろう。