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「アバウトさは相変わらず」高橋も戸郷も若手投手が伸び悩み…巨人・桑田真澄コーチが今やるべき“33年前、グアムキャンプの恩師の教え”とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shimbun
posted2022/02/27 17:03
キャンプで高橋優貴とボールの握りを確認する桑田真澄投手チーフコーチ
その問題は2人だけではなく、多くの若手投手たちが抱えている現状なのである。
だとすれば「治療」が必要だということだ。
こういう意識できちっとやろうというだけではなく、そのための技術的な改善をしっかりして、いい方向に向かわせる。
そのためのアドバイス、「治療」こそが、彼らには必要なのではないだろうか。
33年前のグアムキャンプで思い出すもう1人の背番号73の姿
思い出すのはもう1人の背番号73の姿だった。
1989年の巨人グアムキャンプ。
王貞治監督(現ソフトバンク球団会長)の退任を受け、この年からチームの指揮を執ったのは藤田元司さんだった。
背番号73。桑田が「恩師」と慕った藤田さんが、就任1年目のキャンプで桑田を「治療」した姿だった。
86年に入団した桑田はルーキーイヤーに初勝利を挙げると、2年目のシーズンにはローテーションの一角を担って15勝をマーク。この前年の88年も2桁10勝を挙げていた。
しかしその一方でそんな桑田のピッチングを、ネット裏から見ていた藤田さんには気になるところが1つだけあったのだという。
フォームに力感を求めるために、モーションを起こした左足を二塁方向へ膝を入れながら捻って上げることだった。その方が回転してパワーが溜まるように感じるが、一方で体を右方向に捻りすぎると、腕を振るときに反動で逆に体が早く開きやすくなってしまう。それが桑田の右打者のインコースへの制球力が悪くなる原因だ、というのが藤田さんの見立てだった。
「前からずっと気になっていたんだよ」
藤田さんが桑田に下した「診断」だった。
そして自分が監督になるとすかさず「治療」に着手したのである。