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「アバウトさは相変わらず」高橋も戸郷も若手投手が伸び悩み…巨人・桑田真澄コーチが今やるべき“33年前、グアムキャンプの恩師の教え”とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shimbun
posted2022/02/27 17:03
キャンプで高橋優貴とボールの握りを確認する桑田真澄投手チーフコーチ
キャンプのブルペンで左足を真っ直ぐ三塁方向に上げながら、体を捻転させる方法を何度も、何度も実演しながら藤田さんが桑田に教える姿があった。問題は肩の開きだが、その原因が最初の足を上げる動作にある。そこを見抜いて的確に修正する。
それが藤田さんの指導者としての力量だった。
いきなり5連勝し、自己最多の17勝を記録した
この年の桑田は2年連続で開幕投手を務めると、そこからいきなり5連勝をマークし、最終的には自己最多となる17勝を記録することになる。
もちろん桑田真澄という投手の持つ並々ならぬ才能が、17勝という数字の根底にはある。ただ、その才能をさらに花開かせるためには、指導者の手助けも必要なときがあったはずだ。
それが桑田コーチの語る「治療」ということなのだと思う。
「マスミにはそれができると思うよ」
原辰徳監督も桑田コーチに、そうした技術的な指導を託す1人である。
投手コーチの役割としては、投手編成やローテーションを考え、選手のモチベーションを高めて力を発揮しやすい環境を整えるなどのチームマネジメントが1つ。実戦の中で監督が継投策を決断する材料を渡し、選手にそのための準備をさせるなどのゲームマネジメントがもう1つ。そして最後の1つが選手の技術の修正をしたり、コンディションレベルを高めていくためのアドバイスを送るテクニカルマネジメントだ。
原監督が桑田コーチに期待するのは、この3つを兼ね備えたコーチとしての仕事である。そしてその真価が問われる1つが、実はこうした伸び悩む若手をいかに次の段階に引き上げて、一皮剥いていくことだろう。
高橋や戸郷だけではない。直江大輔や戸田懐生に売り出し中の山崎伊織や育成の堀田賢慎、ルーキーの赤星優志らキャンプで目を引いた若手投手たちも、それぞれに技術的な問題を抱えながら階段を登っている最中だ。それは桑田コーチの「診断」と「治療」を待っている患者たちだということでもある。
「勝利」と「育成」を掲げる今季の巨人。投手陣の立て直しがその大きな柱だとすれば、桑田コーチにかかる責任は重い。そして桑田コーチにとっても指導者としての真価が問われるシーズンとなるはずだ。
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