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「東京五輪のコンビニが懐かしい」「鼻や頬が凍傷になった」北京五輪・現地記者が見た、聞いた“食事情&極寒問題”のリアル
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byJMPA
posted2022/02/22 17:01
食事情、寒さ、会場間の移動……。北京五輪期間中、各国のメディアはどんな毎日をおくっていたのか。日夜奮闘した記者やカメラマンに聞いた
2月4日に北京市内で行われた開会式では気温マイナス3.6度の中、トーマス・バッハIOC会長が薄着、手袋なしで約10分間のロングスピーチをしたことが話題になったが、「山の気温を知っているとマイナス3度は温かく感じる」という声がもっぱらだった。
触れ込みは「高速鉄道で50分」、実態は「片道4時間」
移動に関してはどうだったか。今大会は「クローズドループ」という、「バブル方式」の拡大版での運営。目的地に着くためには宿泊先のホテルから必ずメインメディアセンター(MMC)に行かなければならず、そこから各会場へのバスに乗り換える方式だ。バスの乗り継ぎが良くないため、ホテルから取材現場まで目と鼻の先という距離でも所要時間は1時間半という状況も珍しくなかった。
感想を求めた日本人記者は困ったような顔をして言った。
「バスが時間通りに来ないとか、道路が渋滞しているとか、そういう問題があるので移動時間に大幅な余裕を持たないといけないのがつらいですよ。でも一番厳しいのはスキーの取材で張家口エリアに行くときですよね。『北京市内と張家口エリアは高速鉄道で50分で結ばれている』という触れ込みだったけど、50分というのは高速鉄道に乗っている時間だけ。ホテルから高速鉄道駅までの時間や、張家口エリアの駅に着いた後のバスの乗り継ぎを合わせると、片道4時間くらいかかるんですよ」
過酷な“夜の競技”取材…ホテル到着は「朝の5時」
もっと大変なのは、夜の競技の後はもう高速鉄道が走っていないこと。
「そういうときは、山と北京市内を結ぶバスが真夜中も1時間に1本走っているのでそれに乗ったのですが、3時間以上かかるので結構きついです。ジャンプの取材が終わってからの移動で北京に着いたのが朝の4時で、ホテルに着いたら5時を過ぎていました」
メディアセンターには睡眠不足の記者たちのために、仮眠できる個室ブースがある。ただし、これはあくまで仮眠用。
「20分、40分、1時間の中から使いたい時間を選べるのですが、換気のための穴が天井に開いているので寒いんですよ。不織布でできた使い捨てのシーツがあるけど上にかける毛布がないので、寒くてすぐに目がさえてしまいました。日本に帰ったら? 風呂に入りたいですねぇ。しばらくは隔離生活になりますが……」
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