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「東京五輪のコンビニが懐かしい」「鼻や頬が凍傷になった」北京五輪・現地記者が見た、聞いた“食事情&極寒問題”のリアル 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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posted2022/02/22 17:01

「東京五輪のコンビニが懐かしい」「鼻や頬が凍傷になった」北京五輪・現地記者が見た、聞いた“食事情&極寒問題”のリアル<Number Web> photograph by JMPA

食事情、寒さ、会場間の移動……。北京五輪期間中、各国のメディアはどんな毎日をおくっていたのか。日夜奮闘した記者やカメラマンに聞いた

 実際に筆者も開会式前にメディアセンターで話題になっていた「非接触型サーブ」のレストランに行き、チャーハンとコーラをオーダーした。値段で言えば1000円くらいだった記憶なので文句を言うほどではないが、味は残念だった。安くておいしい北京の食事を知っているだけに、残念。ただ、天井からトレイにのって運ばれてくる方式は面白かった。

カメラマンの指が凍傷のように…

 食以上の厳しさを感じたのは寒さだ。

 ベテランカメラマンは「これほど極寒だったオリンピックはかつてない」と嘆いていた。見せてもらうと、シャッターを押す右手の人差し指が凍傷のようになっていた。

「平昌五輪も開幕から間もない時期はすごく寒くて、風も強かったジャンプ競技では大変な目に遭った記憶があるけど、北京五輪の寒さはその比じゃないね」

 極めつけの寒さだったのは、開会式前日の2月3日夜に行われたフリースタイルスキー・モーグル男子予選だ。北京市内から北西へ180キロ離れた張家口エリアは「タイガ気候帯」特有の針葉樹の低木がポツポツ生えている地帯。夜7時45分からの競技は気温マイナス18度の中で行われ、筆者も完全防備で寒さに立ち向かったが、手足の指先が痛くて危険を感じた。滑走後に取材エリアにやってきた堀島行真(モーグル男子銅メダル)のまつげは、吐く息で真っ白になっていた。

昼もマイナス13度…凍傷になった選手も

 寒いのは夜だけでない。平野歩夢が金メダルに輝いたスノーボード男子ハーフパイプ決勝は昼間の試合なのにマイナス13度だった。それでも、モーグルのマイナス18度と比べれば「この気温ならしのげる」と思えてしまうのだから不思議だ。

 選手たちにとってもこの寒さは耐えがたいものだったようで、バイアスロンやノルディックスキーでは「鼻や頬が凍傷になった」と怒っている選手もいた。

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