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ロコ・ソラーレを支えた“最年長メダリスト”石崎琴美43歳はなぜ慕われる? 元チームメイト・金村萌絵が語った「メッセージカード秘話」
posted2022/02/21 17:00
text by
金村萌絵Moe Kanamura
photograph by
JMPA
日本とイギリスの決勝戦を解説させてもらえたことは、私にとっても得がたい経験になりました。結果は銀メダルでしたが、言うまでもなく決勝に残っただけでもすごいこと。大会前から一番いい想定として「金メダルもあるかも……」と思っていましたが、逆に6位や7位になることも十分考えられました。それくらい各チームの力が拮抗しているなかで、ほぼ最高の結果を残してくれましたね。
あらためて今大会の日本を振り返ると、調子の波がまだ低い状態でデンマークやROCに勝ち切ったことや、連敗して迎えたアメリカ戦での勝利が非常に大きかったです。また、そこからピークを持ってきて、準決勝で高いパフォーマンスを出せたのは素晴らしかった。「このチームは本当に強いな」と感じながら解説をしていました。
1次リーグの最終戦、スイスに負けたあとの藤澤五月選手の涙も、結果的に準決勝でいい方向に働きましたね。吹っ切れたときの藤澤選手が強いことはわかっていましたから(笑)。カーリングって、不思議とああいった負け方のあとに“いい波”がくることが多いんです。
石崎琴美は「一緒にやりたい」と思わせる選手
私にとっては、一緒に2010年のバンクーバー五輪に出場した石崎琴美ちゃんが銀メダルをとったことも感動的でした。当時のチーム青森は琴美ちゃんがリードで、私がスキップ。リードとして私を支えてくれていたのに、五輪ではいい思いをさせてあげることができなかった。そこから10年以上かけてこの舞台に戻ってくるのは、決断も含めてすごく大変なことだったと思います。
琴美ちゃんは2007-08シーズンにチーム青森に加入したんですが、その翌シーズン、世界選手権前のパシフィック選手権で負けてしまうなど、チームとして成績がふるわなかった時期がありました。彼女は私が悩んでいるのを察して、直筆のメッセージカードで「萌絵ちゃんがスキップのチームだから世界で勝てる可能性を感じているよ。これからも頑張ろう」と励ましてくれて……。自分に自信を持てなかった時期だったので、その言葉で本当に勇気づけられましたし、気が楽になりました。