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有馬記念の覇者が“乗馬”に…ブラストワンピースはなぜ種牡馬になれなかったのか? 血統専門家「タイトルがもうひとつあれば…」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byAFLO
posted2022/02/12 06:00
2018年の有馬記念を制したブラストワンピースだが、引退後は種牡馬ではなく乗馬になることが発表された
ブライアンズタイムの父系も断絶の危機に
筆者が贔屓にしていたスマイルジャック(父タニノギムレット)は、現役時代、スプリングステークスなど重賞を3勝し、日本ダービー2着、安田記念3着2回などの成績を残したが、種牡馬として繋養されたのは2年だけで、産駒も2頭しか残せなかった。
タニノギムレットはブライアンズタイムの代表的な後継種牡馬で、初年度産駒から牝馬のダービー馬ウオッカを出すなど存在感を示した。しかし、その後継種牡馬として、スマイルジャックのほか、クレスコグランド、ハギノハイブリッドらがいるものの、それぞれひと桁の産駒しか出していない。
ブライアンズタイムの産駒は、タニノギムレットのほかにも、圧倒的な強さで1994年の三冠馬になったナリタブライアンをはじめ、マヤノトップガン、サニーブライアン、シルクジャスティス、タイムパラドックス、フリオーソなど、多くが種牡馬となったが、そこから先はなかなかつづかず、父系としての血は、早晩、途切れることになりそうだ。
ブラストワンピースの血がつながれないのは寂しいが、有馬記念を制してJRA賞最優秀3歳牡馬となったという記録も、ねじ伏せるような末脚の鮮烈な記憶も、競馬史にもファンの胸にも残り、語り継がれる。それに、ハービンジャーの血は、ディアドラやモズカッチャンらにより、牝系としては間違いなく後世に残る。
同じことが、ノーザンテーストやブライアンズタイムにも言える。ダイワメジャーが産駒に伝える強さなどは、父サンデーサイレンスより、母の父であるノーザンテーストの産駒が見せたそれを思い出させる。
まとめになっているかどうかわからないが、そうしたことも含めて、競馬は面白いのだと思う。