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有馬記念の覇者が“乗馬”に…ブラストワンピースはなぜ種牡馬になれなかったのか? 血統専門家「タイトルがもうひとつあれば…」

posted2022/02/12 06:00

 
有馬記念の覇者が“乗馬”に…ブラストワンピースはなぜ種牡馬になれなかったのか? 血統専門家「タイトルがもうひとつあれば…」<Number Web> photograph by AFLO

2018年の有馬記念を制したブラストワンピースだが、引退後は種牡馬ではなく乗馬になることが発表された

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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 2018年の有馬記念を制したブラストワンピース(牡7歳、父ハービンジャー、美浦・大竹正博厩舎、シルクレーシング所有、ノーザンファーム生産)が1月20日付けで競走馬登録を抹消し、現役を退いた。そして、引退後は乗馬になることが発表された。

 昨年で66回目を迎えた有馬記念を勝った牡馬で、現役時代に死亡したテンポイントを除くと、引退後種牡馬にならなかったのはブラストワンピースが初めてである。

 引退の報せを受け、主戦騎手だった池添謙一は、自身のインスタグラムにこう記した。

「(前略)ダービー、菊花賞、大阪杯と自分が上手く乗れば勝ててたんじゃないかと…そうすれば種牡馬としての道があったのにと…申し訳ない気持ちでいっぱいです。有馬記念だけでも種牡馬になれると思っていました。(中略)騎手としての責任を感じています」

 無傷の3連勝で毎日杯を制し、日本ダービーで5着、新潟記念を勝って1番人気で臨んだ菊花賞で4着となり、前述したように有馬記念でGI初制覇を遂げた。その後、川田将雅に乗り替わって札幌記念を優勝。凱旋門賞に参戦(11着)し、アメリカジョッキークラブカップで重賞5勝目を挙げた。

 池添は、十分以上に主戦としての務めを果たした。特に、騎手として有馬記念単独最多となる4勝目を挙げた有馬記念の騎乗は見事だった。

 管理した大竹正博調教師は、ルージュバックやグレーターロンドンなどで届かなかったGIタイトルを、この馬で初めてつかみ取った。思い入れは強かっただろう。

 池添と同じように、グランプリホースとなったブラストワンピースの種牡馬入りは既定路線だと思っていた人は少なくないはずだ。

 500kgを優に超える馬格を誇り、3歳の早い時期から結果を出してクラシックで主役級となり、有馬記念を勝って凱旋門賞にも出走した。にもかかわらず、ブラストワンピースが種牡馬になれなかったのはなぜなのか。

ブラストワンピースは種牡馬に適さない血統なのか?

 その理由は、馬体や戦績にあったのではなく、血統にあったと見るべきだろう。

 父は2010年のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを11馬身差で制したハービンジャー。代表的な産駒には、ブラストワンピースのほか、2017年のマイルチャンピオンシップを制したペルシアンナイト、同年のエリザベス女王杯を勝ったモズカッチャン、同年の秋華賞と2019年の英ナッソーステークスを制したディアドラ、2019年のヴィクトリアマイル、2020年の香港カップを勝ったノームコアなどがいる。

【次ページ】 「架空配合」で血統面を検証

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