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「今年もクイーンCが誕生日」田辺裕信に注目? 4年前にバースデー勝利、急逝したテトラドラクマとの思い出
posted2022/02/11 17:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Sankei Shinbun
「走る馬なのは分かっていたけど、それにしてもビックリしました」
自らの騎乗馬の末脚に驚きの声をあげたのは田辺裕信騎手。2月6日の日曜日、東京競馬場で行われた東京新聞杯(GIII)で彼がタッグを組んだのはイルーシヴパンサー(牡4歳、美浦・久保田貴士厩舎)。道中、後方に控えると、最後の直線で強烈な末脚を爆発。先行勢をまとめて差し切り、最後は2着のファインルージュに1と3/4馬身差をつけゆうゆうとゴールイン。ファインルージュはGIでも3、2着がある重賞2勝馬だし、3着のカラテは前年の覇者。これらに完勝し、乗っていた田辺騎手ですら驚いたというわけだ。
「淡々とした流れだったのは分かっていました。ただ、リズム良く走らせる事を優先したので、深追いしませんでした。直線はこちらがビックリするくらいの脚であっさりと差し切ってくれました」
イルーシヴパンサーは「強かった」
イルーシヴパンサーは同騎手が乗るようになってから4連勝。昨年の6月に500万条件を勝ったのを皮切りに、昨秋には1000万条件、そして準オープンを連勝。それ以来の競馬となった今回、いとも容易に初重賞制覇を成し遂げてみせた。
しかし、同馬が大きな舞台にその名を連ねたのは今回が初めてではなかった。3歳時の昨年は皐月賞トライアルのスプリングS(GII)で4着に健闘し、本番の皐月賞(GI)に駒を進めた。さすがにGIでは10着に大敗したが、1度はクラシック戦線に駒を進めたほどの素質馬だったのだ。当時は他の騎手が乗っていたが、田辺騎手もそのあたりは当然、頭に入っていた。
「3歳時は皐月賞に出走したほどの馬ですが、ここにきての成長を感じていました。ただ、今回は重賞だったので、どこまでやれるかと思っていたけど、強かったですね」
新たなる重賞ウィナーの今後の可能性については次のように続ける。
「以前は気性的にカッとなる面があったけど、今は落ち着いてレースに向かえるようになりました。これからは一線級の勝負となるので、決して簡単ではないでしょうけど、この感じなら楽しみです」
4年前にはテトラドラクマでクイーンCを勝利
さて、今週末の東京競馬場では共同通信杯(GIII)とクイーンC(GIII)が行われる。田辺騎手は4年前に後者を勝っている。
2018年のクイーンCで田辺騎手がコンビを組んだのはテトラドラクマ(美浦・小西一男厩舎)だった。
同馬はそれまで4戦して1勝。デビュー3戦目で未勝利戦を勝利した後、フェアリーS(GIII)は6着。その後、駒を進めて来たのがこのクイーンC。田辺騎手がコンビを組むのはこれが初めて。事前に追い切りには跨って癖を掴んでいた。
「少し力みやすい面があると感じました。ただ、良いセンスは持っているので、リズムを重視して乗れば勝ち負けしてもおかしくないと思いました」