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「海外を見ても類例は…」 武豊(52)が前人未到の36年連続重賞勝利で、“次に達成しそうな記録”とは?
posted2022/02/12 17:00
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph by
Photostud
武豊騎手の36年連続JRA重賞勝利の重み。JRA史上初であるのはもちろん、海外に目を向けても類例は浮かばない。米国の名騎手ウィリー・シューメーカー(17歳から58歳まで騎乗して8833勝をあげた)がどうだったか、と思うぐらい。
ジョッキーの競技人生は比較的長いとはいえ、重賞レースを勝つようなトッププロは一握り。そのポジションに干支を3周してなお居続けられるのは、本当に凄いことだ。
デビューの'87年、10月11日の京都大賞典が武の最初の重賞勝ち。6番人気のトウカイローマンを鮮やかに操って重賞の表彰台に初めて立った。
新人は重賞の出番を得ること自体が至難で、ましてや人気馬に乗ることなど滅多にない。勝ち負けは無理と思われるような馬を好走させることで名前を売っていくのが唯一の出世の道だ。早いうちに才能を認められた武でも、初重賞まで7カ月余りかかった。
ほどなくして、1番人気の馬に乗って当たり前のように勝ち続ける時代が長く続いたが、ケガによるブランクや、外国人騎手や若手の台頭で近年は一番強い馬に乗る機会も少なくなった。
重賞500勝が次の目標?
1月15日の愛知杯(中京芝2000m、GIII、ハンデ)で、接戦を制したルビーカサブランカ(牝5歳、栗東・須貝尚介厩舎)は7番人気の穴馬。巡り巡って、ルーキーの頃のような馬に乗っているのがいまの武だが、それでも結果を出し続けるのがレジェンドたる所以だ。
通算でJRA重賞は347勝目。地方競馬でも114の重賞(一部の資料では、'89年10月10日の名古屋市制100周年記念=勝ち馬はシヨノロマンが抜けていて、113となっているものがある)を勝ち、外国でも26の重賞勝ちがある。その合計は実に487勝。公式な表彰はJRAの記録に限られるのだろうが、重賞500勝というすごい区切りが視野に入ってきたのは強調しておきたい。
もちろん、あと13勝も決して簡単な数字ではないが、彼が大目標としているJRA5000勝(1月28日現在4325勝)よりは近い標的となるはずだ。
3月15日に53回目の誕生日を迎える。しかし、現役の年長騎手は、柴田善臣、小牧太、熊沢重文、横山典弘と、まだ4人もいる。重賞ワンツーだって見込める頼もしい面々だ。