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スノボー竹内智香に無念の途中棄権審判「スポーツマンシップってなんなんだろう」…五輪で騒がれてきた“不可解判定”を振り返る
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2022/02/10 11:03
前回大会スノボー女子パラレル大回転・銀メダリストの竹内智香。8日に決勝トーナメントに登場したが、無念の途中棄権判定で6度目の五輪挑戦を終えた
試合後、日本チームは抗議したが、判定が覆ることはなかった。主審については「技を理解できていなかったのでは」とその技量を問題視する声も出たが、前年の世界選手権では篠原の内股透かしに「一本」を宣告していたことから、その疑惑も消えた。
ちなみに、篠原とドゥイエは1997年にも、ドゥイエの地元フランスで開催された世界選手権決勝で対戦しているのだが、このときも判然としない判定があり、ドゥイエが優勝している。シドニーでの判定によって、そうした様々な疑惑がさらに噴出することになり、ただただ後味の悪さを残す結果となってしまった。
この件は、のちのビデオ判定導入にもつながっている。
良くも悪くも「判定」は人生を変える
単純に見誤った結果なのか、あるいは周囲から疑問を感じさせるような恣意的なものが含まれての結果なのか。ここにあげた事例も、明確に区別できるものではない。
ただ、誤審に対してはそれを再検証しリカバリーできるシステムが、様々な状況で噴出する不信感に対してはそれを払拭できる体制が、よりいっそう、求められるべきだ。ルール違反、採点そのもの、アクシデントに対する判断など広い意味での「判定」は、選手の人生に大きな影響を及ぼすからだ。
今大会でのさまざまな競技での騒動は、あらためてスポーツにおける重要な課題を我々に突き付ける。
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