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スノボー竹内智香に無念の途中棄権審判「スポーツマンシップってなんなんだろう」…五輪で騒がれてきた“不可解判定”を振り返る
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2022/02/10 11:03
前回大会スノボー女子パラレル大回転・銀メダリストの竹内智香。8日に決勝トーナメントに登場したが、無念の途中棄権判定で6度目の五輪挑戦を終えた
もともとショートトラックは、多人数で競い合い、コース取りでの駆け引きや接触も多い特性から大会のたびに議論を呼ぶ事例が生じてきた。今大会でも、結果として中国の選手に有利にも見える結論が出ることがあり、他国から批判が高まっている。
そして今大会に限らず、夏冬のオリンピックでは判定の是非が取り沙汰されることがあった。
体操、柔道…これまでの五輪であった「疑惑の判定」
例えば昨夏の東京五輪・体操の個人総合決勝では、橋本大輝が3種目目のつり輪で、おそらくは技の1つが認定されなかったことから点数が下がることになった。解説を担う元選手からも困惑の声が上がり、日本チームは「インクワイアリー」(問い合わせ)を要求したが結果は覆らなかった。最終的に橋本は金メダルを獲得したが、場合によってはそれが結果に影響する可能性もあった。
同じく体操では、2004年アテネ五輪が浮かぶ。個人総合で金メダルを獲得したのはポール・ハム(アメリカ)。だが銅メダルを獲得した梁泰栄(韓国)の平行棒で審判による得点の計算に誤りがあったことが判明。もし正しく計算していれば梁が金メダルであった。国際体操連盟も計算に誤りがあったこと自体は認めた。だが、結果を変更することは拒否し、それぞれの選手が手にしたメダルの色が変わることはなかった。
ある年代以上の人であれば、2000年シドニー五輪の柔道で起きた一件を覚えている人も多いのではないだろうか。
篠原信一が銀メダルに終わったシドニー五輪
100kg超級の篠原信一がダビド・ドゥイエ(フランス)と対峙した決勝。1分半ほど経ったとき、相手のかけてきた技に対し、篠原が内股透かしを決めた。技が綺麗に決まり、ドゥイエは背中から畳に叩きつけられた。本来なら篠原の「一本」となる場面だったが、なぜかドゥイエの「有効」と判定されてしまう。それがその後の試合展開にも響き、篠原は銀メダルに終わってしまったのだ。