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大谷翔平、菊池雄星から“東大合格者”まで…花巻東・佐々木洋監督が明かす「夢を目標に変える」指導論〈センバツ出場決定〉
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byJIJI PRESS
posted2022/02/03 17:01
今春のセンバツ出場を決めている花巻東高。菊池雄星や大谷翔平を輩出した名門校である。同校の佐々木監督がその指導論を明かした
野球選手として達成したい目標、そのためにはどんな行動を取るべきか、それは何のために行うのか。
「目標を立てるだけではなく、深いところまで思考しなさいと教えています」
ゴミを拾う、掃除をする…受け継がれる“花巻東イズム”
昨季、メジャーの現場で大谷がゴミを拾う姿が何度となくカメラに捉えられていたが、カメラや人の目の有無にかかわらず、大谷はゴミを拾い、ポケットに入れる。大谷は「誰かが(ゴミで滑ったり躓いたりして)それで怪我をしたりしないように」と話しているが、これは先輩の菊池も、そして部員たちも日常的に
行っている行為だ。
数年前、同校のベンチにバッグとジャケットを置かせてもらった時のことだ。
席を離れていた時に何かの拍子でジャケットがベンチから滑り落ちたのだろうか。ベンチに戻ると、ジャケットがまるでお店のディスプレイのようにきれいに畳まれて、バッグの横に置かれていた。
ただ戻すだけではなく、きれいに畳まれていたことにただただ驚かされた。慌てて周囲を見回したが、誰が直してくれたのか分からずじまいだった。おそらく彼らにとっては日常的に行っていることなのだろう。
10月の東北大会でも『花東イズム』は健在だった。
初優勝を飾った同校の選手たちは、試合を終え、優勝の記念写真撮影を終えると、ベンチとロッカーの掃除を始めた。「この後も使うから(掃除は)いいよ」という運営スタッフの声を他所に、彼らは丁寧に掃除をしていた。
同じような光景を何度も目にしたことがある。遠征時に借りた練習施設はもちろん宿泊施設、バスなど、彼らは掃除道具を見つけ、ささっと掃除を始める。誰かに見られているから、コーチ陣に言われたから、褒められたいからではない。自主的に率先して行う。
「次に使う人のことを考えて行動しなさいと話しています」と佐々木は話す。
「目標の連鎖」がそこには存在する
「『2つの目』の『目的』」を理解し、部員たちは岩手で、菊池、大谷は海を渡って米国で、さりげなく実行に移している。